高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
中国主導の「AIIB」 参加は焦る必要ない

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   日本がアジアインフラ投資銀行(AIIB)へ参加すべきかどうか話題になっている。

   AIIBは、中国主導の国際金融機関である。国際金融機関は、海外での活動において相手国政府との関係などで民間金融機関では情報収集がやりにくい分野で存在意義がある。また、単純に公的な金融活動であるとともに、一国の外交戦略の一環でもある。その意味で、各国の国益がぶつかり合う場でもある。

欧米主導のIMF・世銀体制への挑戦

   AIIBは、BRICS開発銀行と並んで、欧米主導のIMF・世銀体制への挑戦と受け止められている。中国が両方とも主導している。特に、AIIBでは中国だけで出資の半分を占める予定であり、ガバナンスの点で大いに問題がある。

   具体的にいえば、AIIBの融資について理事会の関与がほとんどない。極端な話かもしれないが、中国トップがある国へのインフラ投資を政治判断したら、AIIBはプロジェクトの採算性などを度外視して融資するようなものだ。

   中国の国内システムは、金利の自由化すらまだ終了していない途上国並みのものだ。そのため預貸利ざやが大きく、収益がたっぷり確保されているので、与信審査も甘く、国内の不良債権は巨額にのぼっていると言われているが、十分な開示はなされていない。

   AIIBは、そのような未熟な金融システムを国際版にまで拡大しようとしているかのようだ。今のままのガバナンスであったら、中国政治家主導による国際融資で不良債権の山ができそうである。

   それにもかかわらず、英独仏伊が参加しようとするのは、あからさまな現実主義である。目先の中国の成長は魅力的であり、中国との関係で実利をあげようとしている。

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