ホンダ「S660」はミッドシップスポーツ
かつて軽自動車には各メーカーともスポーツモデルが存在した。1987年登場のアルトワークスはその火付け役だ。2輪メーカーでもあるスズキは伝統的にスポーツモデルが得意で、ダイハツやホンダなどライバルメーカーもアルトワークスに追随し、自主規制枠(64PS)いっぱいのスポーツモデルを投入した。
アルトワークスは小型車顔負けの走行性能で、全日本ラリー選手権などモータースポーツでも活躍。ファンの支持を集めたが、2000年に生産を中止。今回のアルト ターボは「ワークス」のサブネームこそないものの、かつて存在した「RS」のグレード名を冠し、ホットモデルであることを強調している。
一方、ホンダは同じくバブル期に登場し、一世を風靡した2シーターのスポーツカー「ビート」の実質的な後継モデルとなる「S660」を今春リリース。既に2015年1月の「東京オートサロン」でコンセプトモデルを公表するなど、市販は秒読み段階だった。かつてのビートと同様、3気筒DOHCエンジンをシート後方にマウントするミッドシップスポーツで、そのネーミングから、往年の名車「ホンダS600」の再来と見ることもできる。
バブル期の1980年代後半から1990年代初頭に生まれ、一時代を築いた軽スポーツカーが、アベノミクスで15年ぶりの株高に沸く2015年春に復活することは、偶然なのか、それとも景気循環のなせる業なのか。真偽はともかく、スズキ、ホンダから登場する軽スポーツに対するユーザーの反応に注目したい。