理化学研究所の野依良治理事長(76)が、STAP細胞論文問題で責任を取って辞任することを会見で否定し、ネット上で、ブーイングが出ている。実質的な引責辞任だった可能性もあるが、その物言いが反発を呼んだらしい。
この問題を巡って野依良治理事長が表に出るのは、半年ぶりだった。埼玉県和光市の理研本部で2015年3月23日に会見した野依氏は、やや硬い表情でまず謝罪の言葉を述べた。
「やっぱり研究者たちに大きな責任がある」と断言
「組織としても未然に防げなかったことは誠に遺憾でありまして、心からお詫びを申し上げる次第です」
そのうえで、再発防止策が外部委員会から評価され、改革のめどが立ったと強調した。すでにマスコミが報じている3月末での辞任については、人事のことは言えないとしたものの、研究機関で不正があった場合の一般的な対応だとしてこう口を開いた。
「技術的な研究をやるような所ではですね、その組織の長が引責辞任するという例は、私は皆無だと思っています」
つまり、STAP細胞論文問題で責任を取ることはありえないということらしい。そして、論文を書いた元研究員の小保方晴子氏らについて、「やっぱり研究者たちに大きな責任があると思います」と断言した。野依氏によると、「問題は、研究現場での相互チェックが不十分だったことに起因している」というのだ。
会見で理研の対応が後手に回ったことを聞かれると、野依氏は、「若干の間違いはあったが、その場その場で適切な判断をしてきた」と反論した。14年10月に給与の一部を自主返納したことで責任は取ったとの立場だといい、野依氏は、自らの対応には問題がなかったことを強調した。
報道によると、野依氏の任期はまだ3年あるが、今回辞任するのは、高齢なことや在任が11年と長期化したことが主な理由という。STAP細胞論文問題以前から辞任の意向を文科省に伝えていたともされている。