自民党の原田義昭衆院議員と片山さつき参院議員が2015年3月24日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見し、沖縄県の尖閣諸島が日本の固有の領土であることを改めて主張した。尖閣諸島をめぐっては、中国が領有権の主張を始める直前まで、中国政府が尖閣諸島を日本領だと認識していたとみられることを示す地図の存在が明らかになったばかり。
原田氏は中国側の反論に対して、「ここに来て(中国側の領有を示す地図を)見せてくれ」などと述べ、片山氏は対外広報増強の必要性を訴えた。会見後、中国国営新華社通信の記者が、今回発見された地図では日本領を示す証拠にならないとして原田氏に食ってかかる一幕もあった。
元々は中国も尖閣諸島が日本領だと認識していたことをアピールする狙い
地図は日本の国土地理院に相当する、中国の政府機関「中華人民共和国国家測絵総局(現・国家測絵地理信息局)」が1969年に刊行。「尖閣群島」「魚釣島」など日本側の呼称が使われている。中国外務省が公式に尖閣諸島の領有権を主張したのは1971年。日本側としては、地図の公表を通じて、元々は中国も尖閣諸島が日本領だと認識していたことをアピールしたい考え。
国会でこの地図の存在を指摘したのが原田氏だ。原田氏は会見で、
「この(地図発見の)ニュースを明らかにすると、すぐに中国人や中国政府は『日本人や日本の原田議員によるウソだ』などと言ってきている」
などと反論が相次いでいることも明かした。特に中国外務省の洪磊副報道局長は3月17日の定例記者会見で、
「1~2枚の地図を探し出すという無駄なもくろみでは、誰もこの歴史的事実を否定できない。必要ならば、釣魚島(尖閣諸島の中国名)が中国領だと明確に示す地図を100枚でも1000枚でも探して差し上げよう」
と主張している。
この点については、原田氏は
「ここに来て(地図を)見せてくれと言いたい。1000枚も100枚も必要ないので、少なくとも1~2枚は証拠を見せてほしい」
と反論した。
一方、片山さつき参院議員は、返還前の沖縄を統治していた琉球列島米国民政府(USCAR)の文書に、尖閣諸島に関して、「外国漁船は領海に侵入できない」「尖閣諸島の海域で外国漁船が操業することは違法」などと書かれていた、などと領有権の正当性について改めて説明した。
「言論の場でも中国はアグレッシブで、我々はおとなしい」
日本政府は、尖閣諸島が日本領だという根拠をまとめた資料「尖閣諸島写真資料集」を刊行し、在外公館への配布を始めたばかり。片山氏は、国外に対して日本側の主張をPRする場を増やすべきだと訴えた。
「中国の副報道官は定期的に会見しているし、中国の世界中に散っている大使たちも、私が知っている限りで数件、尖閣諸島に関する中国の領有権を明確に主張する意見広告を、フランスであれば一流の新聞に大使として出している。言論の場においても彼らはアグレッシブ(積極的)であって、我々の方が、ホームページに外務省が載せている程度でおとなしい。記者の方も、あまりこういうことをお聞きになっていなかったと思う。だから我々は、それをむしろイーブン(均衡状態)にする上で、こういうこと(資料集の配布)を始めた」
会見後、時間切れで質問できなかった新華社通信の記者が原田氏に詰め寄る一幕もあった。地図は福建省と台湾省を示している。本来ならば福建省北部と台湾の南部は「ちょん切れ」て1枚の地図には入らないのだが、その地域の部分だけ地図の輪郭を外側に広げて1枚に収まるようにしてある。尖閣諸島の部分も、同様にして同じ地図に収まっている。これに対して石垣島は西半分しか収まっておらず「ちょんぎれる」形になっている。これを根拠に、石垣島は日本領だが尖閣は中国領だと主張したい様子だった。ただ、これでは明確な証拠とはいえない。