【大震災 若者の挑戦(3)】
「復興」から「地域おこし」へ大学生が奮闘 がれきの片づけから始まり、今は農家の野菜販売も

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

農家にとってはがれきが片付けば終わり、ではない

   大里さんが所属するReRootsは、震災の影響で避難所にいた若者を中心に2011年4月、10人で組織された。主に大学生だったが、現代表の広瀬剛史さんは社会人でメンバーの中心となった。自ら被災した経験から、震災直後の緊急時を乗り越えた後に日常生活を取り戻すのがいかに大変かを実感していた。「被災者の立場」を最も重視し、相手の目線で生活再建をサポートすることを理念に掲げた。

   被害が大きかった若林区は農家が多く、農地の復旧が「職場復帰」につながる。ReRootsが農業支援に着目したのはそのためだ。ただ農家にとっては、農地に積もったがれきが片付けば終わり、ではない。つらい気持ちをリセットできないと、自力で農業を再開しようとの意欲は生まれてこない。再開できても、野菜の安定的な収穫を軌道に乗せ、販路を確保できるか――こうした心情を理解し、単にモノやサービスを提供するばかりではなく、農家が自らの足で立ち、その先にコミュニティーを再生させるための活動という長期的な展望を掲げた。

   2011年は地元農家を紹介してもらい、津波で汚れたビニールハウスの泥をかき出す力仕事や、大型のがれきが撤去された後の農地を掘り返して小さいがれきを探し出し除去、畑として回復させる作業に携わった。その年の秋には全国からボランティアが集まり、月1000人ほどに膨れ上がったという。

姉妹サイト