東日本大震災直後の仙台市で、被災した学生を中心に結成されたボランティア団体「ReRoots(リルーツ)」は、4年間で活動の幅を広げてきた。
軸となるのは地元の農家の支援だ。震災の年は農地のがれきの片づけ作業から始めて、徐々に農業再開の後押しをしながら今では農家の野菜販売を一部担う。その先には、地域おこしを見据えている。
「自分のことをお客さんが覚えてくれると楽しい」
中学校に隣接する空地に停車した軽トラックの荷台には、白菜やホウレンソウ、菜の花、キクイモと多彩な野菜が並ぶ。仙台市若林区の農家が育てた新鮮な野菜を、車で移動しながら販売する。これは被災した地元農家への支援を4年間続けるNPO法人「ReRoots」の、「くるまぁと」というプロジェクトだ。
「販売チーム」の大里武さんは京都出身で、東北大学1年生。高校時代に被災地を訪れ、現地の高校生と交流するなかで大学進学後にはボランティア活動にかかわりたいと感じたという。東北大に入ると、学生が主体的に活動できるReRootsを知って迷わず参加を決めた。
記者が訪れた3月上旬の土曜日、寒空の下で大里さんが荷台の近くで顔なじみの客と談笑していた。見ると周りには子どもたちも数人いて、大里さんに時折「ちょっかい」を出してくる。近所に住む子たちで、その手を取って遊びながら、「自分のことをお客さんが覚えてくれると楽しいですね」と笑う。
ReRootsに加わる前、販売経験はゼロだったが好奇心はあった。最初はぎこちなかった接客も、回を重ねるうちに自然な会話ができるようになった。野菜の仕入れ先である農家へも足を運ぶため、知識の乏しかった野菜の勉強にも精を出した。親しくなった常連客に、「くるまぁと」のジャガイモを使って「じゃがバター」をつくった話をしたことがある。「ある朝、お客さんから電話がきて、『私もトライしてみたよ。とてもおいしかった』と言われたんです」。半年ほどの販売体験を通して、地域住民と打ち解けていった。
「くるまぁと」は単なる販売目的だけではない。地元農家の野菜の魅力を知ってもらい、地産地消を促進すると同時に、販売活動を通して住民との、また住民同士の活発な交流を生み出して、震災で傷を負った地域の活性化につなげる懸け橋としての役割を見据えている。