2014年のスマートフォンの国内出荷台数が、前年に比べて377万台(12.4%)減った。年間出荷台数でマイナスになるのは、スマホが普及してきた2010年以降、初めてのこと。
これまで快進撃を続けてきたスマホ市場だが、一服感が漂っている。
アップル「iPhone 5」「6シリーズ」で他社を圧倒
IT専門調査会社IDCジャパンによると、国内を対象とした2014年(通年)の携帯電話出荷台数は、従来型のフィーチャーフォンとスマートフォン(スマホ)をあわせた総出荷台数が3659万台で、前年比7.7%減となった。
このうち、スマホは2654万台(前年比12.4%減)だった。国内の携帯電話端末のうち、スマホのシェアはじつに72.5%を占めている。「ほしい人には、ほぼ行き渡っている状態」で、市場に一服感が出ているとみられる。
マイナス成長について、IDCジャパンは「Android」OSを搭載したスマホの販売不振によって出荷台数の減少傾向が続いている、と指摘する。
同社のPC・携帯端末&クライアントソリューションのシニアマーケットアナリスト、木村融人氏は「日本でのiPhone人気は異常なほどで、海外では1社が市場の半分を占めるという例はありません。2014年はNTTドコモがiPhoneを取り扱いはじめたことで、ソフトバンクやauも顧客獲得に向けて販売に力を入れました。それによって、Android端末にヒット商品が出づらくなったといえます」とみている。
メーカー別にみると、国内のスマホ出荷のシェア首位はアップルが58.7%を占めた。以下、ソニーが14.2%、シャープ11.4%、サムスン4.7%、京セラ4.5%と続いている。
一方、携帯電話端末全体でも首位は3年連続でアップル。「iPhone 5」や「iPhone 6シリーズ」で、年間を通して高いシェアを維持した効果が表れている。
今後の見通しについて、木村氏は「2015年第1四半期(1~3月)は、アンドロイドOS搭載のスマートフォン販売の苦戦が続いており、それが在庫過剰となっている」と指摘。そのため、全体的にも「しばらく厳しい市況が続く」とみている。