ファミマ、ユニー統合の不安 大株主伊藤忠がどう動くかに注目

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   コンビニエンスストア3位のファミリーマートと、同4位のサークルKサンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングス(HD)は2015年3月10日、経営統合へ向けた協議を開始すると発表した。

   実現すれば、コンビニ首位、セブン-イレブンに匹敵する店舗網となる。ただユニー主力のスーパー事業は低迷しており、どう相乗効果を生み出すかには疑問符もつく。

  • どう相乗効果を生み出すか(画像はイメージ)
    どう相乗効果を生み出すか(画像はイメージ)
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2016年9月の統合を目指す

   ファミマの中山勇社長、ユニーGHDの佐古則男社長を共同委員長とする統合検討委員会を設置し、本格的な検討を始める。2015年8月に基本合意書を締結し、2016年9月の統合を目指す。

   ファミマを存続会社にしてユニーGHDを吸収合併する。その傘下にコンビニとスーパーの事業会社をぶら下げる形になる。会社名や、ブランド名、役員構成、合併比率などを今後協議する。コンビニのブランドは一本化を目指す。店舗数が多い「ファミリーマート」が有力だ。

   両社に直接の資本関係はないが、大株主はともに伊藤忠商事だ。ファミマの筆頭株主はもともと西友だったが、1998年に伊藤忠に移った。昨年は伊藤忠がさらに5%超買い召して、現在ファミマ株の約37%を握る。一方、伊藤忠は2009年、ユニーと資本業務提携を結び、約3%を出資。「非資源分野ナンバーワン」を標榜する伊藤忠を介して、ファミマとユニーがどう連携するかが業界の関心事だった。

統合後は1位と真っ向勝負ができる?

   ただ、元来、ユニーの経営陣は自主独立志向が強く、経営統合には容易に踏み出せなかった。そんな風向きが変わったのは14年秋ごろからだ。消費増税後は消費者の節約志向が強まり、ユニーの主力であるスーパー事業の不振が続いた。サークルKサンクスもコンビニ4位とはいっても、商品力に勝る首位セブン-イレブン以下の上位陣との差は開く一方。フランチャイズオーナーが、セブンやローソンに鞍替えする事態も相次ぎ、このままで成長戦略を描くのは難しいとの判断に追い込まれたようだ。今年1月には、ユニーHDの前村哲路会長と中村元彦社長(いずれも当時)が業績低迷の責任をとって退任を表明。佐古社長が中心となって、統合協議へ向けた下準備を進めた。

   サークルKサンクスほど深刻ではないが、ファミマにとっても、消費増税後の低迷克服は大きな課題。サークルKサンクスとの統合は、一気に規模を拡大するチャンスだと考えた。中山社長は記者団に「業界3位だと、『どうやって2位に追いつくか』という発想しかできない。統合後は1位と真っ向勝負ができ、生産性の高い創造的な議論が可能だ」と統合実現へ意欲を示す。

「売れるPB」開発できるかもカギの一つ

   ファミマの店舗数は1万1328店舗(2月末時点)。サークルKサンクスの6363店舗を加えれば、首位セブンの1万7491店舗に匹敵する。ただし、1店舗当たりの売上高では断トツのセブン1日平均約66万円に対しファミマは約56万円、サークルKサンクスはファミマをさらに10万円程度下回ると、大きく見劣りする。店舗網をベースに、どう収益力を高めていくかが問われる。

   そこでのポイントは、「プライベートブランド(PB)の強化」(業界関係者)。今や取扱商品の6割近くを、メーカーと直接手を組んで開発したPBが占め、とりわけ店舗数が飽和状態と言われる中、成長のカギは消費者のニーズに合った「売れるPB」が握っている。ここでは、取引量の多さという規模の経済も働くが、それだけでない消費者ニーズにマッチした商品開発力が問われる。

   そうした可能性を秘めたコンビニに比べ、むしろ不安の種はスーパー事業だろう。イオン、イトーヨーカ堂の大手2社も売り上げ低迷にあえいでいる。コンビニと連携することで、新たなビジネスモデルを構築できるか、そこに、統合のコーディネーターともいえる伊藤忠がどうからむか。具体的には物流や情報システムなどを含め、幅広い総合力を発揮できるかがポイントになりそうだ。

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