「日本人の生活や文化、交流を楽しみたい」外国人増えている
一方、「和民」や「わたみん家」などを展開する居酒屋チェーン大手のワタミでも、「団体客の利用もあって、(中国人観光客が)増えていることは間違いありませんね」と話し、「カンパイで盛り上がり、活気があってワイワイガヤガヤと飲むスタイルが受け入れられているようです」とみている。
ワタミが運営する居酒屋では、英語のほか、中国語や韓国語のメニューを用意。また、メニューは写真入りで、外国人でも料理がイメージしやすいよう工夫している。なかには、あえて日本語のメニューから選んで、どんな料理が出てくるのかを楽しむ人もいるそうだが、「焼き鳥や焼き魚など居酒屋の定番メニューが喜ばれています」。いろいろな料理を安く、たくさん食べられることも好評の要因だ。
中国人が増えてきた理由について、ワタミは海外展開による高い認知度に加えて、『IZAKAYA』が日本の食文化や交流の場としてガイドブックなどで紹介されていることをあげる。また前出の「磯丸水産」のSFPダイニングも、「中国語の観光ガイドでちょこちょこ取り上げられたことが、きっかけになっていると思います」という。
さらには、居酒屋で楽しく過ごした中国人観光客らが帰国してから、自身のブログなどに綴っているケースがあるようで、そういったインターネットによる「口コミ」効果もあるようだ。
JTB総合研究所の調査によると、最近は中国人に限らず、富士山や京都などの定番の観光地を巡る旅行スタイルから、日本人が意外に思う場所、たとえば「デパチカ」や代々木公園でのパフォーマンス見物といった、日本人の生活や文化に密着した場所や、日本人との交流に楽しみを求める傾向がみられるようになってきたとしている。
「居酒屋」もその一つなのかもしれない。