上司のセクハラ言動や価値観に迎合している ルミネの「働く女性応援CM」に批判、謝罪に追い込まれる

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   駅でファッションビルを展開する「ルミネ」がYouTube上で公開したCM動画に批判が集中し、謝罪する騒ぎがあった。

   動画は「働く女性を応援するスペシャルムービー」として、2015年3月17日に第1話と第2話が公開された。

  • スペシャルムービー第1話のワンシーンのスクリーンショット(現在は非公開)
    スペシャルムービー第1話のワンシーンのスクリーンショット(現在は非公開)
  • スペシャルムービー第1話のワンシーンのスクリーンショット(現在は非公開)
    スペシャルムービー第1話のワンシーンのスクリーンショット(現在は非公開)
  • スペシャルムービー第1話のワンシーンのスクリーンショット(現在は非公開)
  • スペシャルムービー第1話のワンシーンのスクリーンショット(現在は非公開)

「だーいじょぶだよ、ヨシノとは『需要』が違うんだから」

   会社勤めの若い女性「ヨシノさん」を主人公にしたストーリー仕立ての動画で、第1話では男性上司とのやりとりが展開される。ある日の朝、上司は出社中のヨシノさんを見るなり「なんか顔疲れてんなぁ、残業?」と聞く。「いや...普通に寝ましたけど」と答えると「寝てそれ?あっははは」と失礼な一言。ヨシノさんは表情を曇らせる。

   社内に入ると、2人の前を可愛らしい同僚女性が通りかかる。同僚女性は茶髪のロングヘアで、花柄スカート&オレンジのアンサンブルニットといういかにも女性らしい見た目。一方のヨシノさんは、ボーダートップスに白パンツ、ベージュのトレンチコートと全体的にメンズライクなファッションだ。

   上司は同僚女性に「髪切った?」と声をかけた後、「やっぱかわいいなあの子」とつぶやく。ヨシノさんは「そうですねぇ、いい子だし」と合わせるのだが、その様子が自信なげだったためからか、上司は「だーいじょぶだよ、ヨシノとは『需要』が違うんだから」と「フォロー」してみせる。動画ではここで丁寧に「需要」という言葉について「求められること。この場合、『単なる仕事仲間』であり『職場の華』ではないという揶揄」との説明が入る。

   ずいぶんと無神経な上司だが、ヨシノさんは腹を立てることなく「最近、サボってた?」と自問。そこで「変わりたい?変わらなきゃ」というルミネのメッセージが打ち出され、動画は終了する。

   同時に公開された第2話は第1話の続編となっている。舞台は居酒屋で、後輩とおぼしき男性社員とのやりとりが展開される。先の同僚女子が男性陣にチヤホヤされているのを横目に見ているヨシノさんは、この男性社員に声をかけられ、「歴史好き」という共通の趣味で意気投合。すると男性社員は「歴史が好きな人って美人が多いってほんとですね...」とつぶやき、ヨシノさんは褒められ慣れていないのか慌てて自虐トークを炸裂させる、というものだった。最後には第1話と同じ「変わりたい?変わらなきゃ」のメッセージが流れる。

佐々木俊尚氏「誰も何も感じなかったんだろうか......」

   公開後は共感する声も出ていたが、まもなくして第1話の内容が物議を醸すこととなった。主人公が上司のセクハラ的な言動や価値観に迎合しようとしているように見え、ルミネもそれを「変わらなきゃ」と後押ししているように受け取れる...といった理由から批判が集中したのだ。

「どう見ても女性を応援というよりバカにしてんだろ。ここまで人を不快にさせるCM、待てがかからなかったのかな」
「『日本の現実』がどうであろうが、ルミネのあのCMを世界に名だたる大企業に見せたら、たぶん100%『女性差別的な表現である』って回答すると思うよ」
「今までの広告が『誰のためでもなく自分のためのおしゃれ』をおしてただけにあのCMはないなーって思った」

   ツイッターにはこうした声が多数あがり、20日にはトレンド欄にも「ルミネのCM」が入った。ジャーナリストの佐々木俊尚さんも「内容もすごいが、それ以上になぜこれがルミネという知名度もある大きな会社で通ってしまったのかが気になる。誰も何も感じなかったんだろうか......」と疑問視した。

   一方で「問題ない」「過剰反応」と擁護する声も出ていたが、ルミネは20日16時までに動画2本を「非公開」に。あわせてホームページに下記の謝罪文を掲載した。

「この度は、弊社の動画においてご不快に思われる表現がありましたことを深くお詫び申し上げます。今後はこのようなことのないよう、十分に注意してまいります」

   なおJ-CASTニュースでは本件について詳細を聞くため、ルミネに12時ごろから取材を申し込んでいたが「お詫び」の掲載前までに話を聞くことはできなかった。広報担当者は17時半ごろ電話取材に応じ「このような状態ですので、現在はお詫びを申し上げることに専念させていただきたい」などとコメント。CMの企画の経緯や意図、3話目以降があったかどうかなどについて回答を得ることはできなかった。なお動画を巡っては、本社に対しても数件の問い合わせが寄せられたという。

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