コントロールと決め球修得、スタミナが課題
田中はドラフト2位での入団である。昨年のドラフト会議前は、地元関西の球団が指名するのでは、との予想があった。現実は阪神もオリックスも関心を持たなかった。「即戦力」の確信が持てなかったからである。
メディアによる前評判は高かった。身長180センチから149キロの速球を投げ、京都大最多のリーグ戦通算8勝を挙げた。指名後は、ノーベル賞を何人も輩出した難関大学から初のプロ野球選手、という材料が話題に拍車をかけた。
聞くところによると、大学時代の練習は1日2時間ほどだったという。これでは体力的にプロですぐ適応できないのでは、との指摘はあった。体力的スタミナ、投手に必要な肩のスタミナも不足している、と見ていたから、二軍で1年かけてプロの投手になる練習をすることは正しいと思う。
「伸びシロはある」と伊東監督は認めているからホープであることは間違いない。球団としては「京都大の投手」として観客動員につなげたいところだろうが、とりあえずひと夏越えるまで辛抱した方が本人、チームのためである。
これまで東京大出身の選手は数人いた。第1号は大洋入りした新治。続いて中日に井手が入団した。さらにロッテに小林。いずれも目立った成績は残していない。学生時の練習量の不足が最後まで解消できなかった。
田中に求められるのはコントロールと決め球の修得。そして5イニングを投げるスタミナをつけることである。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)