スペイン・バルセロナで開かれたネットワーク・携帯機器の世界最大の展示会「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)2015」。有力なグローバルメーカーが今回も、新作となるスマートフォン(スマホ)やタブレット型端末、腕時計型や眼鏡型の「ウェアラブル端末」をお披露目して話題を呼んだ。世界のモバイル最前線を追った。
韓国サムスン電子は、MWCに合わせてスマホの同社ブランド「ギャラクシー(Galaxy)」の新型モデル2種類を発表した。「王者」サムスンが、あえてブランドの再構築を図った意欲作だ。
「その時点でのベストのものを出すのがGalaxyのポリシー」
「サムスン史上最も美しく、世界で最も先進的なスマホの開発を目標に立てました。そして、出来上がったのがこちらです」
MWCに先駆けて2015年3月1日に行われた同社の新商品発表会で、申宗均社長はこう話し、巨大スクリーンに「Galaxy S6」と「Galaxy S6エッジ(edge)」の2モデルが映し出された。申社長は「最高のディスプレー、最速のプロセッサー、どんな条件においても最も優れたカメラ」と胸を張った。
米調査会社ガートナーが2015年3月3日に発表した2014年の世界のスマホシェアは、サムスンが24.7%で首位に立ち、2位の米アップルの15.4%を引き離す。「シェア世界一」の地位にありながら、それでもこのタイミングでGalaxyをゼロから見直す大胆な刷新に踏み切った。サムスン電子ジャパンは「世界シェアにとらわれず、その時点でのベストのものを出すのがGalaxyのポリシー」と理由を説明する。
完成した新型Galaxyは、ひと目見て従来の機種との「違い」が分かる。まず、スマホ本体の背面がプラスチックからガラスに変わった。高級感を出すと同時に、耐久性に優れたガラスを採用して「割れやすいのでは」との不安を解消したという。ディスプレーの形状も大きな特徴だ。2つのモデルのうち「S6 edge」は画面の左右が滑らかに湾曲しており、画面を囲む枠部分が狭まって画面が大きくなった。
申社長も発表会で言及したカメラは、明るさにこだわった。フロントとリア両方のカメラで、露出オーバーによる「白飛び」や露出不足で黒くつぶれるのを防ぐ「HDR」合成の技術を採用。フロントカメラで「自撮り」した際、人の顔だけでなく背景も明るく写せるようになる。カメラアプリが0.7秒で起動する点もアピール材料だ。
ワイヤレス充電にも力を入れたほか、10分だけの充電で4時間使える「高速充電」も実現した。
モノへのこだわり、技術力を最大限詰め込んだ
「Galaxy S6」「Galaxy S6 edge」の特徴は、MWCで大いに注目を浴びたようだ。サムスン電子ジャパンに聞くと、特に反響が大きかった点は「見た瞬間に理解いただけるであろうデザイン」で、来場者からは見た目に加えて「実際に端末を手に取った感触」にも好評を得たという。カメラについても、こだわった「明るく撮れる」点が評価され、「スマホのカメラで今までなかなか実現できなかったこと」が可能になったと上々の反応だったようだ。
スマホを巡るメーカー間の競争は年々激化している。米アップルの「アイフォーン(iPhone)」は今も人気が衰えず、新興の中国メーカーは勢いづいている。サムスン電子ジャパンは取材に対し、「他社を意識していないと言うとウソになりますが」と前置きしつつ、「だからといって過剰に意識することなく、(「Galaxy S6」「Galaxy S6 edge」について)我々のモノへのこだわり、技術力を最大限詰め込んだものであり、お客様に十分に満足いただける製品であるということをしっかりと伝えていきたい」と話した。(この連載は随時掲載します)