サーベラスは経営陣との「対話型」活動に軸足
西武ホールディングスに対し、不採算の一部鉄道路線や球団売却の検討を要請していた筆頭株主の米ファンドのサーベラスは、2014年10月までの「ロックアップ期間」を過ぎても保有株を売却しなかった。西武の後藤高志社長は「サーベラスは一連のリストラ提案をすでに取り下げた。今も友好的で強い信頼関係を構築している」と説明する。西武の業績はアジアからの観光客増などを受けて好調で、株価も高値で推移している。サーベラスは経営陣との「対話型」の活動に軸足を移したとみられている。
政府は14年6月に策定した成長戦略「日本再興戦略」に、複数の社外取締役選任などを求める「コーポレートガバナンス・コード」や、機関投資家などが投資先への厳格な経営監視を求める「スチュワードシップ・コード」の策定を盛り込んだ。企業経営に残る「甘え」を断ち切り、経営者に緊張感を持たせることで潜在的な成長力を引き出す狙いからだ。
アクティビスト・ファンドの影響力が高まっている背景には、「物言わぬ株主」だった機関投資家などが、ファンド側の説得力のある提案に同調する動きが広がりかねないという企業側の危機感がある。