メジャーリーグ、テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有投手が右ひじ靭帯の修復手術を受けることを決断し、今シーズン中の復帰はほぼなくなった。
近年、あらためて活躍が見直されている日本人投手だが、田中将大や藤川球児、和田毅投手らのように、毎年ひじの故障者が出る事態が続いている。
この数年は毎年ひじの故障者が
ダルビッシュ投手は2015年3月5日のオープン戦に登板し、右腕の張りを訴え、わずか12球で降板。診断の結果、ひじの靭帯が部分的に断裂していたことが分かり、トミー・ジョン手術を受けることに踏み切った。
一報を受け、「また、ひじか」と思ったファンは多いだろう。この数年だけでも田中将大投手(14年)、藤川球児投手(13年)、和田毅投手(12年)と毎年のようにひじを手術する日本人投手が続いている。これ以前にも松坂大輔や佐々木主浩、上原浩治投手らひじの故障を経験したのは枚挙にいとまがない。
もちろん彼らの体調管理がいい加減だったということはない。ダルビッシュ投手は14年7月の会見でけがとトレーニングの関係について語ったり、ブログで自己流ケアを書いたり、自らの管理には人一倍気を使っている。また、藤川、和田両投手のように日本で大きなけがをせず何年も第一線で活躍したにもかかわらず、渡米後すぐに故障したケースも目立つ。
そもそも中4日は日本人に合わない
なぜ、ひじの故障が相次ぐのか。マウンドの固さやボールの違いを指摘する声が上がるが、スポーツジャーナリストの菅谷齊氏はJ-CASTニュースの取材に、「多様な変化球の投げ過ぎ」を挙げた。
「シンカー1つを取っても色んな指のかけ方で投げ分けることがある。変化球の場合スピードを落とすため手首を使わずに投げるので、どうしてもひじに負担がかかってしまう」
と分析する。藤川や田中両投手のようにフォークやSFF(スプリット・フィンガー・ファストボール)といった「落ちる球」を武器にした投手に故障が多いのは、このあたりにありそうだ。
また、「そもそも中4日は日本人に合わない」と指摘する。日本では先発投手は中5日か6日が多いが、日程が厳しいメジャーの場合は中4日のローテーションが基本だ。「日本で何年もゆったりしたローテで投げるのに慣れてしまうと、簡単には合わせられない」という。ダルビッシュ投手も過去に「中4日は絶対短い」と発言している。
とはいえ、変化球から直球主体の組み立てに変えるのは簡単ではないし、チーム事情を考えると1人だけ登板間隔を別にすることはできない。菅谷氏は、
「けがの少ない黒田博樹投手のようにコントロールをよくして球数を減らすこと。また、調整やケアをコーチに任せず、自分に合ったやり方をするよう訴えることが必要ではないか」
と改善策を挙げている。