中4日登板、硬いマウンド、落ちるボールの多投
ダルビッシュは大リーグに行ってから安定した成績を残している。12年16勝、13年13勝、14年10勝。昨年は22試合登板で2ケタに乗せた。完全試合を寸前で逃す快投もしており、信頼度は高い。
原因は何か。考えられるのは登板過多、球種などが挙げられる。
ダルビッシュは大リーグの中4日登板に疑問を持つ発言をしている。日本では中5日、中6日が普通だから、疲労の蓄積が取れないうちに次の登板になる。さらにボールやマウンドの硬さの違いなど、日本より負担が大きい。
球種については、落ちるボールを投げすぎることが響いているのでは、との指摘がある。
復帰はいつごろになるのだろうか。分かっているのは、今シーズンは戦列を完全に離れるということである。球団やダルビッシュによれば、早く手術して早くカムバックした方がいい、という。
手術は日本でもよく知られているトミー・ジョン手術である。この別名は、かつてドジャースの好投手がヒジの手術を受けて見事に復帰したことから、その投手の名前をつけたものだ。
日本の投手も何人かがその手術を受けている。メスを入れた後、エースの働きをした代表的な例はロッテの村田兆治がいる。82年に戦列を離れ、さまざまな治療を経た後に手術を受けた。83年は登板ゼロ。84年にカムバックし、翌年に17勝を挙げるなど、メスを入れた後、59勝を重ねた。通算215勝のうち4分の1以上を稼いだ。
以後、多くの投手が同じ手術を受けた。桑田真澄、松坂大輔、和田毅、藤川球児ら。ヤンキースの田中将大も昨年、そのピンチにさらされたが手術まで至らなかった。しかし、不安は残る。
ダルビッシュのピッチングはしばらくお預けになる。松坂と黒田博樹が日本へ戻ってきており、今年の大リーグ情報はさびしいものになる。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)