自動売買(システムトレード)が浸透
一方で、FX取引を始める個人投資家が増えている、との指摘もある。株式市場は日経平均株価が2015年3月13日に終値で15年ぶりに1万9000円台に乗せるなど好調に推移しており、「リスクをとって積極的に投資する人が増えてきました。株式だけでなく、FXにも投資してみようというムードが広がってきたようです」と、インヴァスト証券はみている。
加えて、相場の方向性がわかりやすいこともある。たとえば、ギリシャの債務問題が再燃していた欧州の動向は落ち着きを取り戻しつつあるとはいえ、当面ユーロは下げ基調にある。日本円にしても、14年10月末に日本銀行が突然、追加の金融緩和措置に踏み切るなど、円安基調は変わらない。それどころか、さらなる追加の金融緩和があるとの観測まで広がっている。
一方、米ドルは利上げ観測もあって、まだまだ「買い」の局面が続きそう。世界は米ドルの独歩高の様相にある。ドル円相場は15年3月10日に一時1ドル121円77銭まで上昇し、7年8か月ぶりに高値を更新した。
あるFX業者は、「これだけ強い、弱いがはっきりとわかる局面ですから、投資しやすいことは明らかですし、たとえばドル・ユーロであれば、取引量は世界一ですから、いろいろな人が投資に参加しているので、暴落するような動きにはなりづらいこともあります」と説明。投資しやすい環境にあるとの見方を示す。
さらには、初心者でも入門しやすい自動売買(システムトレード)が業界に浸透してきたことも後押ししている。自動売買は、投資のプロが作成した売買プログラム(ストラテジー)を「選ぶ」だけで投資がはじめられる。実際の取引はストラテジーが行うので、取引中にパソコンに張り付いている必要がない。多忙なビジネスマンや主婦でも取引できると人気になっている。
たとえば、インヴァスト証券の「シストレ24」やFXプライム(GMO)の「選べるミラートレーダー」、FXCMジャパン証券の「ミラートレーダー口座」がそれで、インヴァスト証券では「シストレ24の15年1月の口座開設者全体に対する初心者の割合は44%、2月だと49%と約半分程度が初心者の方になります」と話している。