医療につながる大学の研究を支援しようと、文部科学省が始め、後に厚生労働省も加わった革新的医療技術創出拠点プロジェクトの 8回目の成果報告会が2015年3月5、6日、東京で開かれた。
東京大学など国立8大学と慶応義塾大学が拠点となり、周辺の大学や研究機関と連携、医療の芽(シーズ)を見つけ、薬や医療機器の実用化をめざす計画だ。15年度までに65件が許認可を前提とした臨床試験段階に入るなど、順調に進んでいることが明らかになった。
音声障害患者の声帯にヒト肝細胞増殖因子を注射し、再生をめざす
シーズとして注目されたのは、たとえば岡山大学方式の人工網膜。内田哲也(工)、松尾俊彦(医)両准教授らは「色素結合型人工網膜」を考案した。光が当たると電流が生じる色素を結合したポリエチレンフィルムを目の網膜下に移植する。米国で2013年に認可された人工網膜とは比較にならない高性能で、実際に像が見える可能性が高い。網膜色素変性症患者を対象の臨床試験の準備を進めている。
京都大学医学部の平野滋講師(耳鼻咽喉科)らは音声障害患者の声帯にヒト肝細胞増殖因子(HGF)を注射し、声帯再生をめざす。18人の患者を対象とした医師主導の臨床試験を既に始めている。