「かなり時間をかけるだろう」との観測は強かった
進藤社長はそもそも、高い調整能力が評価されて合併後の経営トップに起用されたとみられている。「小倉の高炉を休止するにしても、かなり時間をかけるだろう」(業界関係者)との観測は強かった。
しかし、進藤社長は大方の予想に反して大胆な動きに出ることになった。その背景には鉄鋼業界が直面する厳しい経営環境がある。中国で続く生産能力増強の動きや、アジア各国の技術力向上など、世界の市場で存在感を示すのは難しくなりつつある。しかも少子高齢化で国内市場は長期的に縮小は免れない。進藤社長は3月3日の記者会見で、かつては設備の統廃合を否定したことを認めつつ、「小倉の高炉休止は全社の競争力強化を図るためだ」と力説、統合効果を最大限に生かすため、聖域を設けず強い姿勢で臨むことを示した。