国内鉄鋼最大手の新日鉄住金は2018年度末をめどに、八幡製鉄所(北九州市)小倉地区の高炉1基を休止する。小倉地区は旧住友金属工業の小倉製鉄所が前身で、高炉休止は旧住友金属側の反発が強く、当面は決断できないと見られていた。
世界的な競争が激化する中、2014年4月の就任から1年も経ない進藤孝生社長が予想外の早期決断に踏み切ったといえる。
新日鉄住金単体で3年間計1500億円以上のコスト改善
高炉休止は2015年3月3日に発表した中期経営計画(2015~17年度)に盛り込んだ。八幡製鉄所の高炉は戸畑地区の1基のみとなり、今後は戸畑地区の高炉の生産量を10%程度高めて小倉地区に送る。八幡製鉄所全体で鋼材などを作るための半製品が足りなくなるが、大分製鉄所(大分市など)や和歌山製鉄所(和歌山市など)などから調達して、全社的に生産体制を整備する。こうした中期経営計画全体の取り組みで、新日鉄住金単体で3年間計1500億円以上のコスト改善を目指す方針だ。
新日鉄住金は2012年10月に旧新日本製鉄と旧住友金属が合併して誕生。競争力向上を狙い、設備や機能の集約を積極的に進めてきた。高炉は鉄鉱石から鉄鋼製品の原料になる「銑鉄」を取り出す鉄鋼企業の要だが、主力製鉄所の高炉についても例外とせず、君津製鉄所(千葉県君津市)の1基を、2015年度末をめどに休止することを既に決めている。