一段の増税が必要との声も各方面から出る
当然、将来金利が上昇に転じれば、債務残高GDP比も再び悪化するわけで、「短期的に改善しているように見え、歳出圧力が高まるようなら本末転倒」(エコノミスト)との批判が出るところだ。
諮問会議の試算で、「経済再生ケース」の2020年度9.4兆円不足としても、消費税だけで埋めるなら税率3%強が必要という計算になる。甘利明経済再生相は「この5年間で消費税の引き上げは1回を基本に作業を進めたい」(2月12日の会見)と述べ、さらなる増税の議論は封印する構えだが、一段の増税が必要との声も各方面から出る。経済同友会は「消費税率を18年度から毎年1%ずつ上げ、17%に」、土居丈朗、鶴光太郎両慶大教授ら6人の経済学者・エコノミストによる公益財団法人「総合研究開発機構(NIRA)」も「2%前後の追加的な消費増税を」と提言しているといった具合だ。
安倍首相は衆院予算委員会などで、2020年度のPB黒字化目標について「立場に変化はない」と繰り返しているが、増税、歳出削減、経済成長のどれをどのように組み合わせ、説得力のある具体案をまとめられるか。予断を許さない議論がこれから本格化する。