促進のため補助金を増加
なぜ、少花粉や無花粉品種への植え替えが増えないのか。
林野庁担当者はこれまでタネが少なかったことに加え、
「これらの品種が植えられるようになり、まだ10年ほどしかたっていない。木材としての実績がないため、林業関係者の中では足踏みしているところがある」
と保守的な業界に一因があることを指摘した。
一方、全国山林種苗協同組合連合会の担当者は、
「木材の出来に不安を持ったり、コスト面の課題があったりする訳ではない。一般に植えられるようになって時間がたっておらず、業界の中で認知が広まっているとは言い難い」
と食い違いがある。
いずれにせよ林野庁は17年度には少花粉品種などを1000万本に増やすことを目標にしている。現在10%強にとどまっている割合を3分の2ほどに拡大したいという。
新年度予算案にも促進のために補助金を盛り込んだ。これまでは苗木を植え替える際、植樹と整地のみが補助の対象だったが、伐採と運搬にも拡大し、約7割を国と都道府県が負担する。林野庁担当者は「タネは順調に増え、植え替えは当初の予定を上回るペースです。達成も不可能ではありません」としている。それでも実際に放出する花粉が減るには数十年の年月がかかるとみられる。