「主流」の経済学者の言うことを信じないほうがいい
はっきり言えば、復興増税は経済学の学部・大学院程度で習う、課税平準化理論から間違っている。つまり、一時的な経済ショックがあって財政出動した場合に、増税によってその時点の財政収支を均衡させることは効率性の観点からも望ましくない。むしろ公債発行によって、税収と財政支出を一時的に乖離させたほうがいい。直感的にも、100年に一度のショックがあってそのために財政支出が必要なら、100年国債を発行して負担を100年間で分担したほうがいい。
が、復興増税を提言した経済学者は多い。そのリスト(伊藤隆敏研究室サイト)を見ると、日本を代表する一流学者が顔をそろえている。しかし、学部・大学院レベルの間違いをしたのであるから、お里が知れている。しかも、この提言では、「消費税は生産意欲を減退させにくく、経済成長に与える影響が軽微である」と書かれている。これをひとつの根拠として、昨(2014)年4月からの消費増税も行われている。
ところがどうだろう。消費増税の影響は軽微どころか、大きかった。2014年度の経済見通しでは、政府はプラス1%成長といっていたが、おそらくマイナス1%になる。まったく大外れだ。これだけ外れると、「主流」の経済学者の言うことを信じないほうがいい。大震災以降4年がたった。その間、トンでもないことを言っていた人たちがあぶりだされた。しっかり覚えておこう。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)、「図解ピケティ入門」(あさ出版)など。