伊東氏は「事実上の引責辞任」との見方も
品質関連費用を積みましたことなどから、ホンダの2015年3月期の連結営業利益は、前期比4%減の7200億円と3年ぶりの減益を見込む。トヨタ自動車は過去最高となる2兆7000億円の連結営業利益を予想するなど、ほかの自動車大手はダイハツ工業を除き増益見通しで、ホンダの苦境ぶりが際立っている。
社長退任後、会長に就かず相談役に退くのは福井威夫前社長と同じ。社長在任期間も福井氏と同じ6年で、いつ交代してもおかしくないタイミングだった。だが、リコール問題で信頼を回復できたとは言い難いだけに「事実上の引責辞任」との見方も消えていない。
伊東氏は社長交代会見で「競争が激化する中で、腰を据えて若い人のエネルギーで引っ張っていくチャンスだと思った」と世代交代を強調。一方、八郷氏は「チャレンジングな商品を作り続け、6極体制で事業基盤をしっかり作る」と「伊東路線」を継承する考えを示した。
今年はホンダにとって、モータースポーツの最高峰「フォーミュラワン(F1)」復帰や、小型ビジネスジェット「ホンダジェット」の納入開始など、大きなイベントが目白押し。「いろいろなものが花咲く年」(八郷氏)となる。ビッグイベントに浮かれず、失った信頼を地道に取り戻せるか、八郷氏の手腕が問われそうだ。