【大震災 若者の挑戦(1)】
「暗闇の先にもきっと光がある」と言えた 震災の記憶を伝え続ける相馬高校放送局

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人々と触れ合いながら新たな気づきを得ていく

「相馬高校から未来へ」より(画像提供:相馬高校放送局)
「相馬高校から未来へ」より(画像提供:相馬高校放送局)

   劇は2012年3月10、11日に東京都内で初演。以後は口コミで評判が広がり、全国から上映会の依頼が続々と舞い込む。制作メンバーの6人が各地に赴き、観客と話をする機会も増えた。2013年7月には、優れたジャーナリズム活動に贈られる「日本ジャーナリスト会議(JCJ)特別賞」に選ばれた。

   放送局の顧問を務める渡部義弘教諭は、作品の制作過程でシナリオや映像に「口出し」することは一切ない。「今伝えたいこと(仮)」の脚本も生徒が書き上げた。取り扱う題材も部員が自主的に選ぶ。

   ただ周りを見渡した時、最も伝えたいテーマだと生徒が感じることが多いのは震災のようだ。加えて「今伝えたいこと(仮)」のインパクトは大きく、放送局のその後の活動にも影響を与えたと考えられる。

   事実、2013年制作の「相馬高校から未来へ」では、「今伝えたいこと(仮)」の上映会で各地を回る先輩部員に密着。被災地の現状を発信する一方、上映会で訪れた場所の人々と触れ合いながら新たな気づきを得ていく様子を描いている。1人の部員は、広島市や熊本県水俣市を訪問した際「原爆や水俣病は過去のものじゃない」と実感したと、会場を訪れた人に語り掛ける。そのうえで、自分たちの未来をつくっていきたいとの願いを口にした。

   この作品は、2011年の「緊急時避難準備不要区域より」と同じ女子部員が制作した。「2年前には未来に絶望していた子が、2年かけて『暗闇の先にもきっと光がある』と言えるようになったのです」と、渡部教諭は振り返る。「相馬高校から未来へ」は2013年のNHK杯全国高校放送コンテスト「テレビドキュメント部門」で優勝を果たした。

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