アップルがiPhoneシリーズやiPodシリーズなどの製品価格を改定した。公式アナウンスは特にないようだが、オンラインストアでは2015年3月10日より改定後の価格が表示されるようになり、国内の各ストアでも10日から同価格で販売しているという。
改定対象には、2014年12月から国内販売が停止しているSIMロックフリー版の「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」も含まれていて、いずれも1万1000円分値上げされている。しかし、注文は相変わらず出来ないままだ。
オンラインストアは「注文できません」のメッセージ
2014年9月に新型iPhoneとしてデビューした「iPhone 6」「6 Plus」は、発売時点から「SIMフリー版」を選べることが話題になった。ところが、発売からわずか3か月ほどで国内での購入ができなくなってしまった。
インターネット上ではいくつかの憶測が流れた。そのうち有力視されたものの一つが「円安値上げ説」だった。アップルは為替レートの変動に応じて製品価格を改定することが珍しくなく、14年11月にも両製品の価格を値上げしていた。円安が急速に進んでいることから、一度販売を停止して再値上げの準備をしているのではないか、との見方が強まっていた。
そして販売停止から約3か月後に実施された今回の値上げ。10日時点でアメリカでの販売価格が変更されていないことなどから、円安による調整とみられる。価格は6の16GBが8万6800円、64GBが9万8800円、128GBが11万800円。6 Plusの16GBが9万8800円、64GBが11万800円、128GBが12万2800円。(いずれも税別)。それぞれ従来価格から1万1000円アップしている。
しかし、オンラインストアで「iPhone 6」「6 Plus」の購入ページを開くと、出荷予定日の欄は依然「注文できません」のメッセージのままだ。販売停止が「値上げ準備」によるものであったなら、改定と同時に販売がスタートしてもよさそうなものだが、タイミングにずれがあるのだろうか。
ストア「販売再開時期は分からない」
販売停止の理由について、アップル・ジャパンは12月当時「コメントは控えたい」と回答しており、現在まで明らかにしていない。10日、改めて広報部にコメントを求めたが、本日中に回答を得ることはできなかった。なお、アップルストアのスタッフに聞いたところ、値上げの理由は知らされておらず、SIMフリー版の販売再開時期についても分からないとのことだった。
一方で「円安値上げ説」以外の見方もある。iPhoneを扱っている大手キャリアの関係者は「アップルはオフィシャルでは言っていないようだが、弊社内では『中国への転売を問題視している』と聞いている」と話す。9月の発売時には円安傾向も手伝い、日本のSIMフリー版を求める外国人が少なくなかった。中でも転売目的の中国人客が押し寄せたことは注目を集めた。
「アップルはブランディングを非常に大切にする会社だから、転売によって中国のマーケットに出て行ってしまうのはあまり好ましくないのだろう」(前出の大手キャリア関係者)
とはいえ、これらの説はいずれも憶測にすぎず、販売停止の謎は深まるばかりだ。それでも当初から購入を検討していた人にとっては、1万1000円のアップは痛手だろう。改定を受け、ネットには「64Gが10万以上って販売再開してももう買えない」という悲鳴や、「いっそのこと、SONYにいこうかな」と浮気を考える人の声も上がっている。