核のごみの最終処分場の選定 国が自ら前面に出て作業を進める

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廃棄物は原則として50年間、地上で暫定的に保管という考えも

   最終処分問題については、日本の科学者を代表する日本学術会議の検討委員会が、経産省の作業部会と時を同じくして、政府への提言案をまとめている。同会議は2012年から「暫定保管によるモラトリアム(猶予)期間の設定」という考えを打ち出しており、今回も、この考えを改めて整理し、廃棄物は原則として50年間、地上で暫定的に保管し、その間に処分地選定で国民の合意を得るなどの考え方を示している。暫定保管施設は電力会社が配電地域ごとに少なくとも1カ所設置するように求め、原発再稼働や新増設に当たっても暫定保管施設の確保を前提条件とすることも盛り込んだ点は、国とは相いれないが、実質的に将来の技術進歩の可能性を重視する点で、経産省と共通する部分はあり、「国民的合意を作っていく上で、こうした考え方がポイントになる可能性がある」(反原発運動関係者)との声もある。

   ただ、処分場への住民の不安は、除染に伴う廃棄物の中間貯蔵施設でさえ、各地で住民の強い拒否反応が出ているように、まして高レベル廃棄物処分場の選定作業が、今回の基本方針改定でにわかに進展する可能性はなさそうだ。

   経産省の作業部会の増田委員長が「国は最終処分場の必要性について、国民の前に出てまだ議論していない。そうした基本から始めるべきだ」とくぎを刺すように、政府の息の長い取り組みは始まったばかりといえそうだ。

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