首相と日銀総裁、「蜜月」は過去のもの? 財政再建や物価上昇率めぐり微妙なズレが

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日銀の追加緩和への警戒感が出る

   甘利氏の発言や報告の修正は、原油価格下落により2年程度での目標達成が厳しくなった日銀に対し、政府が助け船を出しているようにも受け取れる。しかし、政府や官邸の真意はちょっと違うようだ。政府関係者は「原油安は日本経済にとってプラスにもかかわらず、黒田総裁が2%の物価目標達成を急ぐために追加緩和に踏み切りかねないとの警戒感が官邸にある」と明かす。日銀が早期達成にこだわり、追加緩和に踏み切れば、一段と円安が進んで原油安の恩恵を相殺しかねないというわけだ。4月に統一地方選を控える安倍政権にとって、避けたいシナリオに違いない。甘利氏の発言や月例報告の文言修正は、暴走しかねない黒田・日銀にブレーキをかけるためのメッセージといえる。

   そもそも、安倍首相と黒田総裁の関係がぎくしゃくし始めたのは、14年秋の日銀追加緩和と、首相の消費税率10%への引き上げ延期がきっかけだった。市場では、財務省出身で財政再建論者の黒田総裁が追加緩和に踏み切ったことが、首相に再増税の決断を促していると受け止められた。黒田総裁やその周辺は「追加緩和と再増税は一切、関係ない」と断言するが、当時、再増税の延期を検討していた首相には、黒田総裁が古巣の財務省と連携し、再増税の地ならしをしているように苦々しく映った――という解説がある。

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