40~41度のお湯に10分程度が好ましい
もっとも、大半の人は入浴中に血圧が下がっても脳血流は保たれるという。つまりウトウトしているすべての人が「失神寸前の状態」というわけではなく、「そうしたケースは一部であり、多くはリラックスして(副交感神経が優位になって)ウトウトしている」と前田教授は指摘する。ただし見た目だけでは、どちらなのかは区別がつかないそうだ。
脳の血流不足によって、実際に失神に至ってしまうこともある。これが原因とみられる入浴中の溺死事故も少なくなく、油断は禁物だ。
一般的な失神時には、めまいなどの「前触れ」のあるケースが多いが、前田教授によれば、入浴中の場合はめまいよりも意識低下が先に起きると考えられるという。本人も変化に気づきにくいだけに、注意する必要がある。
眠気を催した場合は、すぐに浴槽から出ることを心がけるといいだろう。湯船に沈み込まないよう浴槽につかえを入れたり、顔の下までふたを閉めたりするのも有効かもしれない。前田教授によれば「40~41度のお湯に10~15分程度」が入浴の目安だという。