ポール・マッカートニーは何度も死んでいる 今度は「交通事故で死亡」、ラジオ局が騙された

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   「本物のポール・マッカートニーは1966年に死亡 替え玉を使用?」――2015年3月4日、ロシア国営ラジオ局の日本語版サイト「ロシアの声」が衝撃的なニュースを報じた。

   「ザ・ビートルズ」の元メンバー、リンゴ・スターさん(74)が外国の出版社のインタビューに「本物の」ポール・マッカートニーさんが1966年11月9日に交通事故で死亡したと明かした、というのだ。

すべてのことが、はじめから終いまで、作り話

またダマされた...(画像は「ロシアの声」の当該記事より)
またダマされた...(画像は「ロシアの声」の当該記事より)

   記事によると50年近くに渡り、ポールさんの「替え玉」を務めているのが、かつて「(ポールさんの)そっくりさんコンテスト」で優勝したというミュージシャン、ウイリアム・ビリー・キャンベルさん。

   リンゴさんは、

「ビリー・キャンベルは、 私たちと1週間あるいは2週間だけ一緒に演奏するはずだったが、 時間が経ち、誰もトリックに気づかなかっため、私たちは一緒に演奏を続けた。ビリーは、十分に良いミュージシャンで、ポールよりもより演奏をすることができた」

などと語ったという。記事は大きな反響を呼び、3月6日13半時現在、ツイッターで8700以上リツイート、フェイスブックで3万回以上シェアされている。

   コメント欄でも、

「えぇ!衝撃!本当なのかどうか!」
「マジでか!?けど、どうりでと納得」
「うっそー!しんじられなーい!」

など驚きの声が多く上がっている。

   「ロシアの声」に先んじて3月2日、「World News Daily Report」という海外のニュースサイトがこの件を報じていた。記事では「外国の出版社」の名前が「The Hollywood Inquirer」と出ており、インタビュー内容も詳細に伝えられている。

   しかし、全て「デマ」だったようだ。「ロシアの声」は5日18時、「マスメディア、ポール・マッカートニーが50年前に死亡したことをまたしても信じ込む」という挑発的な見出しの記事で「とてもいい話だが、問題は、『ハリウッド・インクワイアー』なる雑誌またはサイトは存在しないということだ」「当該インタビューでリンゴ・スターが語ったというすべてのことが、はじめから終いまで、作り話だ」と「誤報」を「訂正」した。デマに引っ掛ったマスメディアの名前は挙げられていない。

   ちなみに、「World News Daily Report」は海外で有名なジョークサイトだ。

90近い数の死亡「根拠」

   実は、「ポール死亡説」は50年近く前からまことしやかに囁かれてきた都市伝説だ。インターネットのフリー百科事典「ウィキペディア」にも「ポール死亡説」という項目が個別に作られるほど、今までありとあらゆるパターンが語られてきた。

   1969年リリースのアルバム「アビイ・ロード」のジャケット写真でポールさんだけ裸足だ、1967年リリースのアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のジャケット写真でポールさんの頭の上に手がかざされている、など枚挙に暇がない。一部ファンの指摘によると、90近い数の「根拠」が提示されてきたという。

   一方、ポールさんは1993年にリリースしたソロのライブアルバム「ポール・イズ・ライブ(Paul Is Live)」で都市伝説をパロディ化した。ジャケット写真では革靴をはいたポールさんが「アビイ・ロード」の道を渡るなど、「ポール死亡説」の根拠を逆手に取ったネタが散りばめられた。

   今回の「デマ」に関し、ポールさんやリンゴさんは未だ声明を発表していない。しかし、50年前の「デマ」が今も真実味をもって語られていることだけは事実だ。

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