「同性婚が少子化に拍車かける」 議員のTV発言、他国の例ではどうなのか

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オランダやデンマークで出生率上昇

   柴山氏の懸念は果たして現実に起きているのか。2015年3月4日付の東洋経済オンラインの記事によると、同性カップルにも異性のカップルと同じ結婚を認める制度があるのは、オランダやベルギーなど10の国・地域。また、結婚とは違う同性カップルのためだけの「パートナーシップ法」があるのは、ドイツやフィンランドなど12の国・地域。両方あるのがノルウェーや英国など7か国となっている。ほかにイスラエルも、同性カップルの権利を保障する国だそうだ。

   これらの国・地域では、本当に出生率が下がっているのか。J-CASTニュース編集部では、経済協力開発機構(OECD)や世界銀行のデータを基に、パートナーシップ法や同性婚を認める法律を施行した年と最新の2012年の出生率を比較した。制度が2012年以降に設けられたり、米国のように国単位ではなく一部地域で法律が施行されたりしているケースは比較する数値が出せないため除いた。すると、出生率が上昇した国は、世界最初に同性婚法を施行したオランダや、世界初のパートナーシップ法を定めたデンマークなど13か国、低下した国はスペインや南アフリカなど8か国で、出生率アップの例の方が多かった。

   また、こんな事例もある。同性婚制度が議論されていた米ケンタッキー州では、州知事が「異性間の結婚でないと、州の出生率低下や経済の停滞を招く」と主張し、同性同士の結婚を禁じる主張をしていたが、米連邦裁判所ではこの主張を退けた。ケンタッキーの地元紙「クーリエジャーナル」(電子版2014年7月2日付)記事によると、判事のひとりは、同性婚を締め出すことが、異性婚のカップルによる生殖についてどのような影響を及ぼすか、知事側は全く説明していないと断じた。同性婚と出生率の低下を関連付けても、根拠が示されていないというわけだ。

   「TVタックル」で批判を浴びた柴山議員は、番組出演後、自身のツイッターに「不利にしないようにすることと、正面から認めることの間にはやはりギャップがあります」と投稿した。

   同性婚の制度化は、欧米を中心に急速に浸透しており、日本の対応に関心が高まっている。議論は今後も続きそうだ。

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