「韓国と基本的価値を共有」、官房長官会見からも消える 外務省は理由には触れず、未来志向を強調

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   外務省ウェブサイトの韓国に関する「基礎データ」のページから「基本的価値を共有」という文言が消えたことについて、日韓のすれ違いが顕在化しつつある。韓国メディアによると、韓国外務省は日本側に変更の経緯について説明を求める方針だ。

   日本側の韓国側に対する不信感が反映されているという見方がある一方で、外務省は日本国内向けには「サイトは定期的に改訂している」と説明するのみで、文言を消した真意は判然としない。こうした状況で日本側が韓国側に真意を説明するかは不透明で、今後韓国側が反発を強める可能性もある。

韓国外務省当局者、修正の経緯を「日本側が説明する必要」

外務省ウェブサイトから「基本的価値を共有」の文言がなくなり、波紋を広げている
外務省ウェブサイトから「基本的価値を共有」の文言がなくなり、波紋を広げている

   外務省のウェブサイトは2015年3月2日に更新され、従来は「我が国と、自由と民主主義、市場経済等の基本的価値を共有する重要な隣国」となっていた表現が、「我が国にとって最も重要な隣国」に変更された。外務省の北東アジア課では、記述の変更についてJ-CASTニュースに対して「直近の演説の内容などを反映させた」と説明。実際、最近は安倍晋三首相や岸田文雄外相の演説でも、韓国に対する「枕詞」が「基本的な価値や利益を共有」する「最も重要な隣国」から、単に「最も重要な隣国」に変化している。こういった傾向がサイトに反映されたわけだ。

   この更新に、韓国政府も反応した。聯合ニュースによると、3月4日に韓国外務省の当局者が

「どのような経緯で修正されたのか日本政府が説明する必要がある」

などと述べたという。

「最も重要な隣国」ではなく、単に「重要な隣国」

   だが、日本政府の「説明」からは、更新された経緯は分かっても、「基本的価値を共有」という文言がなくなったことの意義や真意は読み取りにくい。

   菅義偉官房長官は3月4日夕方の会見で、

「外務省のホームページというのは、どんどんどんどん変わっていっているわけですから、詳細は外務省に聞いて頂きたい」

と述べ、

「韓国は我が国にとって重要な隣国。そして隣国であるがゆえに様々な難しい問題がある。そういう中で、やはり首脳同士が大局的観点から未来志向の関係を築いていくことが必要だという日本側の考え方はまったく変わっていない」

と続けた。ここでも「基本的価値を共有」という表現はなかった。また、安倍晋三首相や岸田文雄外相が国会演説で使っている「最も重要な隣国」ではなく、単に「重要な隣国」という表現にとどめた。

外務報道官会見は「のれんに腕押し」状態

   直後の川村泰久外務報道官の会見でも同様だ。記述が変更された経緯については、

「いわゆるホームページというものは常に改訂をしていく」

と説明。

   ウェブサイトの会見録には、

「当省ホームページの大韓民国基礎データは定期的に改訂を行っており、今般、その一環として、各種情勢や経済数値等の改訂を行った」

という但し書きも付けられた。

   会見では、記者から

「韓国は我が国にとって、自由、民主主義、法の支配等の基本的価値観を共有する国なのかどうか」

について見解を求められても、川村氏は韓国が「我が国にとって最も重要な隣国」で、未来志向の日韓関係構築に向けて「粘り強く努力していきたい」と繰り返すのみで、「のれんに腕押し」状態。結局川村氏の口から「基本的価値を共有」という言葉は出てこなかった。

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