ノンアルコール飲料に初のトクホ食品登場 消費者庁の「不適切」答申覆す

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   サッポロビールと花王のビール風味のノンアルコール飲料2種類が特定保健用食品(トクホ)に認められた。消費者庁が両社から出ていたトクホ申請を許可したためで、ノンアル飲料で初トクホとなった。

   トクホというのは、体によい特定の成分を含み、健康の維持や増進に役立つことを表示できる食品。特定の効果が科学的に証明されている必要があり、許可されれば、例えば、ラベルやパッケージに「お腹の調子を整える」「コレステロールを低下させる」「血圧が高めの方に」「血糖値が気になる方へ」といった表示が可能になる。

「未成年者飲酒の可能性が上がる」として不適切だと答申

ノンアルコール飲料で初のトクホ(画像はイメージ)
ノンアルコール飲料で初のトクホ(画像はイメージ)

   1991年の導入からお茶やガム、ヨーグルト、チョコレートなど約1140品目が許可され、最近ではキリンビバレッジの「メッツコーラ」が初トクホのコーラ系飲料として大ヒットした。

   今回許可されたのは、サッポロビールの「サッポロプラス」と花王の「へルシアモルトスタイル」。いずれも食品の種類としてはビール風味の清涼飲料水だ。ラベルなどに表示できる内容は、サッポロビールが「食物繊維(難消化性デキストリン)の働きにより、糖の吸収をおだやかにするので、食後の血糖値が気になる方に適しています」、花王は「本品は茶カテキンを豊富に含んでおり、エネルギーとして脂肪を消費しやすくするので、体脂肪が気になる方に適しています」というもの。いずれも未発売で、花王は商品化については未定、サッポロビールは近く商品発表会を開く予定だという。

   この2種類をめぐっては、消費者庁の諮問を受けた内閣府の消費者委員会が昨2014年8月、健康に役立つというイメージにひかれて「未成年者飲酒の可能性が上がる」としてトクホには不適切だと答申した経緯がある。

自主ルールの徹底を条件とし、消費者委のメンツも立てる

   これに対し、消費者庁はトクホの要件である「健康維持への有効性や安全性が認められた」として許可した。企業から申請を受けると消費者委に意見を聞いたうえで判断するが、答申に従う必要はない。ただ、これまでに逆の判断をしたことはなく、今回が答申を覆した初のケースとなった。

   この判断の背景には要件を満たしているのに認めない場合、訴訟を起こされれば負けるとの危機感があったとみられる。ただ、「販売時の年齢確認や酒類コーナーに並べる」といった業界団体が現在も実施している自主ルールの徹底を条件とし、守らなければ許可の取り消しもあり得るとしたことで消費者委のメンツも立てた形だ。

   健康志向が高まるなか、トクホ表示が可能となれば売上にも影響を及ぼしかねないだけに、飲料メーカーからの申請が相次ぎそうだ。

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