もはや韓国とは「基本的価値を共有」していない 外務省サイト「基礎データ」更新が大波紋

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   2015年は日韓国交正常化50年の節目のはずだが、日中関係と比べて日韓間の「雪解け」は難しそうだ。外務省の国別基礎データのページで、これまで韓国の項目にあった「基本的価値を共有」という表現が姿を消し、単に「最も重要な隣国」となったからだ。

   この更新は、最近の安倍晋三首相や岸田文雄外相の演説内容を反映したものだ。日韓の間には、いわゆる従軍慰安婦問題や産経新聞の前ソウル支局長の出国禁止問題など課題が山積だ。こういった問題への韓国政府の対応に日本側が業を煮やした結果、表現が変化したとの見方もある。

「我が国と、自由と民主主義、市場経済等の基本的価値を共有」

もはや韓国とは「基本的価値を共有」していないのか(写真は第2の都市・釜山)
もはや韓国とは「基本的価値を共有」していないのか(写真は第2の都市・釜山)

   内容の変化が注目されているのは、外務省がウェブサイトで国別に公開している「基礎データ」の韓国のページ。面積や人口といった一般的な事柄に加えて、南北関係や経済情勢など多岐にわたって解説されている。その中で注目されているのが、「二国間関係」の「政治関係」の項目だ。

   これまでの、

「韓国は、我が国と、自由と民主主義、市場経済等の基本的価値を共有する重要な隣国であり、近年、両国の関係は、一層の深みと広がりを見せている」

という記述が、3月2日には、

「韓国は、我が国にとって最も重要な隣国であり、近年、両国の関係は、一層の深みと広がりを見せている」

に更新された。

   かなり早い段階で更新に気付いた新潟県立大の浅羽祐樹准教授は、この更新についてツイッターで、

「単に削除したのではなく、『お前らの体制は自由でも民主主義でもないので、オレたちとは基本的価値を共有していない』ということですからね。いやぁー、これは露骨ですが、とうとう公式化したな、という感じです」

と解説した。

外務省「直近の所信表明演説の内容などを反映」

   更新は唐突に見えるが、外務省の北東アジア課では、

「特定の部分のみに焦点が当たっているが、このページは貿易データなど定期的、不定期に更新されている。今回の更新もその一環で、直近の所信表明演説の内容などを反映させている」

と話す。一般的な更新作業の一環だという説明だが、それが持つ意味合いは小さくない。

   確かに、安倍晋三首相の国会演説では、韓国に対応する「枕詞」が変化している。14年1月24日の施政方針演説と9月26日の所信表明演説では、韓国について「基本的な価値や利益を共有」する「最も重要な隣国」だと説明している。たが、直近の15年2月12日の施政方針演説では「最も重要な隣国」で「対話のドアは、常にオープン」だという説明に変化している。

   岸田文雄外相についても傾向は同じだ。2013年2月28日に国会で行った外交演説では、

「北朝鮮等地域の脅威に対処する上でも、基本的な価値や地域の平和と繁栄の確保という利益を共有する韓国との関係は重要です」

と述べている。外交演説で韓国について「基本的な価値」という単語が登場するのはこれが最後で、それ以降は、

「最も重要な隣国」(14年1月24日)
「地域の平和と繁栄の確保という利益を共有する最も重要な隣国」(15年2月12日)

といった具合だ。

   「基本的価値」という文言は、14年4月発行の平成26年(2014年)版外交青書には盛り込まれていた。だが、演説内容を踏まえると、近く発行される15年版では姿を消すとみられる。

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