アップル対象に政治的な「差別批判」仕掛けられた?
実際に中国では、「黄色い肌」の絵柄から人種差別を連想するように、この種の問題には敏感なのだろうか。中国広東省在住の中国人夫妻に聞くと、「黄色の顔文字を見ても差別的だとは全く感じませんでした」とこたえ、「ごく一部のグループが騒いでいるだけではないでしょうか」と続けた。夫は、確かに「かなり黄色い顔」だとは思ったと話すが、印象はそれ以上でもそれ以下でもないという。
東京都内在住の中国人男性も、「人種差別だとは思いません」とひと言。インターネット上でも中国ではそれほど話題になっていないとしたうえで、「在米中国人など、中国を離れて海外に住む人が批判しているのでは」と推測した。
中国のネット事情に詳しいノンフィクション作家の安田峰俊氏は、「基本的に、中国人はこの手の人種差別問題に対しては鈍感な傾向があり、今回の反応は意外」と話す一方、本当に「庶民発の意見」として怒りが表明されたのかには、疑問の余地もあるようだ。中国では2年ほど前から、海外系のIT企業に対する政治的バッシング・キャンペーンがしばしば盛り上がっており、「アップルはそのなかでも槍玉に挙げられることが多い企業」というのだ。今回も「キャンペーンの一環」として、アップルを対象に「差別批判」が仕掛けられたとの可能性もぬぐえないかもしれない。
アップルは差別を否定しているものの、市場として有望な中国で批判が拡大するようなことがあれば、大きな痛手につながりかねない。