米アップルが新たに制作した絵文字に、「人種差別だ」と非難する声が上がった。肌の色が異なる男女の顔文字の中に濃い黄色で描かれたものがあり、アジア人への蔑視だというのだ。
批判の急先鋒は中国人。絵文字を増やして多様な肌の色に対応したはずのアップルだが、思わぬ指摘が入ってしまった。
ワシントンポスト記者は「関連性ない」との立場
「アイフォーン」などで使われる基本ソフト「iOS 8.3ベータ2」が開発者向けに公開され、約300種類の新しい絵文字が加わる。絵文字は英語でもそのまま「emoji」と書かれ、日本の「ケータイ文化」が世界に広がった例と言えそうだ。
従来、アップルが用意していた顔文字は人種の多様性が乏しいとの批判があった。黒人やアジア系の人がほとんどなかったのだ。今回は肌の色が違う男女6人ずつの顔文字が提供されたが、1組の男女の顔が黄色く塗られている。特定の人種を指しているとしたら、少々不自然な色合いに感じられる。
これにかみついたのが、中国のインターネットユーザーだ。2015年2月25日付の英デイリーメール電子版は、中国在住のアップル製品利用者が「黄色い肌の色はアジア人を侮辱するものではないか」と憤慨していると報じた。2月26日の産経新聞電子版は、短文投稿サイト「微博」に「あの絵文字はアジア人を表してはいない。あんな黄色い人は見たことがないから」「実際にあんな黄色い奴を見たことがあるか?まるで病気じゃないか」との書き込みがあったと紹介した。
デイリーメールによるとアップルは、黄色の顔文字について「人種的にはニュートラルだ」と説明、アジア系を意図したものではないと主張している。米ワシントンポストのケイトリン・デューイ記者は同紙電子版の2月24日付記事で、「黄色い顔はアジア人とも人種とも関連性はない」との立場をとった。問題となった黄色、また黄色い顔の絵文字は、1990年代後半の日本の携帯電話や米ネットサービスのインスタントメッセンジャーで使われた、より単純な絵柄のキャラクターのときから用いられてきたと説明。特定の肌の色を表現したのではなく、「昔ながらの基本色」を、よりリアルに描かれた人間の顔文字に当てはめたに過ぎない、ということのようだ。