原田泳幸氏は本当にカリスマ経営者だったのか 「米国流」が招いた栄光と挫折

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「500円の図書カード」で解決 「誠意がない」「そういう会社」・・・

   原田氏は2014年6月、ベネッセHDの経営者に転じたが、直後に顧客情報流出事件が発覚し、同社も業績悪化に陥っている。流出自体は原田氏の社長就任より以前の問題で、その限りでは不運ということになるが、その後の対応については個人情報が漏えいした顧客に対して500円の図書カードなどを「お詫びの品」として配った。ところが、「子どもの情報が漏れたのに金額が安すぎる」などと納得していない被害者が1人あたり5万5000円の損害賠償を求める集団訴訟を起こすなど、終息の気配はない。

   また、ダイレクトメール(DM)を繰り返すことで最新の名簿を確保し、各種の営業に活用するビジネスモデルからの転換を進めるものの、DMを使わない新規顧客開拓には苦戦が伝えられる。

   前出の大関暁夫氏は、「顧客にとっては、子どもに関わる情報が漏れたことで憤りを感じているわけですよ。それをきちんと謝りもせずにお金で解決しようとした。少なくとも被害にあった顧客は、『誠意がない』『ああ、そういう会社なんだ』と思ったでしょう」と話し、「物事を合理的に解決しようとする、米国スタイルの悪い部分がでてしまった」とみている。

   経営手腕を買われて、さまざまな企業から招かれる「プロ経営者」の草分けともいわれた原田氏。しかし、その存在にははっきり陰りが見えている。

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