どういう情報なら消費者に届くのか考える必要がある
朱:さらにわれわれメディア人は大きな変化に直面しています。これまではどういうものがあるのか、どういう特長があるのかを伝えてきました。今はそれ以上の情報が求められています。例えば、なぜこの時にこの場所で買う必要があるのか。そう訴えなければ消費者は動きません。情報が伝わった瞬間に買わないと、もうチャンスがない、という説明が必要になっています。インターネットの時代では選択や比較は全世界の中で行われています。お店で買わなくても家に帰って買うことができるのです。
そのあたりを強く意識できるかどうか。メーカーもメディアも完全には理解しきれていない。
―― 安ければいい、ではない。高い商品のどこに価値があるのか、その人個人にふさわしいものなのか、そういう情報が大切になってくるということですか。
朱:その通りです。強調したいのは、メーカーやメディアはどういう情報なら消費者に届くのか考える必要があるということです。 中国人は1つの商品を買って気に入ると、周りに教えてあげる。それが広がって、ヒットにつながっていく。たとえばこんな例がありました。香港で化粧品を買う人が相次ぐと、香港ではブランドや価格にこだわらず化粧品ばかりを買います。そのせいで、現地で品不足が起きました。
ほかにはアメリカではコーチ、パリならルイ・ヴィトンというように「定番」があり、同じものばかりを買う。残念ながら「日本なら絶対これ」というブランドやモノは、まだない。日本のメーカーやメディアは中国人消費者の特長をよく理解していないのです。