トールの買収価格は割高との指摘
トール買収によって日本郵便と合わせた年間売上高は247億ドル(約2兆9400億円)となり、世界5位に浮上するという触れ込みだが、トールはもともと世界21位(77億ドル)の企業でしかない。なんだかんだ言って日本の伝統産業である年賀状のインパクトはいまだ大きいし、トールへの過剰な期待は禁物だ。それに、5位になったところで、トップのドイツポストDHL(711億ドル)など世界大手の背中が遠いことに変わりはない。
それでもなぜ、西室社長は「グローバル化の第一歩」などと今回の買収を喧伝するのか。15年秋に控える日本郵政の株式上場対策に他ならない。利益を挙げる会社と見られにくい傘下の日本郵便を、買収で「補強」して投資家にアピールするためだ。しかし、トールの買収価格は買収発表直前の株価に49%のプレミアム(上乗せ)を付けた。TOB(株式の公開買い付け)のプレミアムの平均はざっくり30%台であることを思えば割高と指摘されても仕方ない。西室社長の発言にはよくよく注意する必要がありそうだ。