政府が「安倍カラー」を前面に出した「開発協力大綱」を決定した。従来からの「政府開発援助(ODA)大綱」を改定し、名称も変更したもので、安倍晋三首相が掲げる「積極的平和主義」を踏まえ、支援の対象を従来より広げたのが特徴だ。
「非軍事目的」との限定付きながら、他国軍などへの協力を容認したほか、援助を戦略的に活用する。民生分野に限ってきた日本の援助政策の大転換点といえ、軍事目的への転用にどう歯止めをかけるかなど、課題が残る。
「非軍事的協力による平和と繁栄への貢献」を新設
大綱の改定は2003年8月以来12年ぶりで、2月10日の閣議で決めた。
新大綱は、普遍的価値の共有、貧困や災害などの地球規模課題の解決のためODAを「積極的・戦略的」に活用する方針を打ち出した「国家安全保障戦略」(2013年12月に閣議決定)を受けたもの。冒頭、「積極的平和主義の立場から、国際社会の平和と安定及び繁栄のため一層積極的な役割を果たす国家として国際社会を力強く主導していかなくてはならない」と、基本姿勢を謳っている。代わりに、これまでの大綱にあった「日本国憲法の精神にのっとり」との文言は落ち、「安倍カラー」を明確に打ち出したものになった。
具体的には、大きく3本柱からなる。まず第1に、軍、軍関係者がかかわる支援も非軍事目的に限定して認めること。新大綱の基本方針として「非軍事的協力による平和と繁栄への貢献」との項目を新設し、「相手国の軍または軍籍を有する者が関係する場合には、その実質的意義に着目し、個別具体的に検討する」とした。