台湾の新幹線で日本人女性とみられる人物がトイレを占拠したうえ、乗務員らに罵声を浴びせたり殴りかかったりしたと、台湾のテレビ局などが報じた。一体何者でトイレにこもって何をしていたのかなどについて、ネット上で様々な憶測が流れている。
「使っているでしょうがぁ! 使っているでしょうがって!」。この「日本人女性」は、女性乗務員の手を押しのけて、トイレのドアを閉めようとする。
トイレの長時間占拠を邪魔されたと腹を立て
問題の場面を誰かがビデオに撮っていたらしく、台湾のテレビ局「TVBS」は2015年2月23日、ニュースの中でビデオを紹介した。
それによると、騒ぎは、19日に台湾高速鉄道・台南―嘉義間の新幹線車内で起こった。「日本人女性」は、やや広い身障者用トイレに20分以上こもっていたらしく、ビデオでは、乗務員がトイレのドアを何度も叩いて声をかける。しかし、出てこないので、安全確認のために外からカギを開けると、しゃがんでスーツケースを広げていた女性が出てきた。そして、乗務員を押し戻し、日本語で前出のように叫んだ。女性は、メガネをかけマスクをしていた。
乗務員がドアを押さえてさらに話を聞こうとすると、今度は英語で「シャーラップ! チャイニーズ」と叫んで殴りかかろうとした。騒ぎで駆け付けた別の男性が「ごめんなさい」と割って入ると、女性は、「ユーアー サウスコリアンズ テロリスト!」と英語で罵倒した。
「お客さま」と声をかけた乗務員には、「ゲッタ ウェイ! ゲッタ ウェイ!」と追い払おうとした。女性は結局、次の嘉義駅で下されることになったが、降りると誰かに殴りかかった。さらに、「日本語が話せる警察を呼びなさい」「ドゥ ノット タッチ! ドゥ ノット タッチ マイ ラグ!」と乗務員らにまくし立てていた。
日本のネット「もし日本人でも厳罰でいい」
この「日本人女性」の一件は、他にいくつかの台湾メディアでも報じられ、それによると、女性はその後、警察に引き渡されたという。ビデオを見ると、スーツケースは、なぜか3つも持っていたようだ。
騒ぎについては、日本のネット上でも話題になり、「ちょっと待て そいつほんとに 日本人?」「言ってることがめちゃめちゃ」「もし日本人でも厳罰でいいよ」といった声が出た。女性が何をしていたのかについても、荷物を仕分けして整理していた、何かを隠そうとしたのでは、など様々な憶測がなされていた。
日本の対台湾窓口機関に当たる公益財団法人交流協会の東京本部では、取材に対し、「報道で知っただけで、何があったのかは把握していない」と話す。
「邦人が犯罪を起こして勾留されたときは、台湾の警察から連絡が来る可能性はあります。そうではない観光客のトラブルは、現場で処理することが多いので、連絡は来ることはないですね。もしそうであれば、正確な情報は分からないです」
台湾で「日本人」が暴力を振るったケースとしては、日系タレントと日本人男性が2012年にタクシー運転手の言動に腹を立てて、殴る蹴るの暴行を加えて重傷を負わせたことがある。別のタクシー運転手がその場面をビデオに撮っていて2人の行為が発覚した。この事件で、現地メディアは、台湾の人々の対日感情が悪化しているとも報じていた。
最近では、14年5月に日本人女性がバスの運転手を蹴るなどの暴行をしたとして、警察が傷害の疑いで書類送検したと、台湾メディアが伝えている。女性は停留所を乗り過ごしたにも関わらず、運転手に途中で降ろすように要求し、それを断られたことに腹を立てたという。