インターネット動画配信サイト「ニコニコ生放送」を使って「物乞い(こじき)行為」をしたという理由から、軽犯罪法違反の疑いで高松市の無職の男(23)が書類送検された。男はJR高松駅周辺でコップを持ち、ここに金を入れてくれなどと生放送で呼びかけていた。
書類送検されたのは軽犯罪法に触れたからで、第1条は「こじきをし、又はこじきをさせた者」(22項)を拘留又は科料に処する、などと規定している。
この生放送を見た人はここにお金を持って来てほしい
今回のニュースにネットでは、物乞いで検挙されたという話は「初めて聞いた」とし、生活に困っているならお金をあげて助けるべきだとか、募金の呼びかけや大道芸人はどうなるんだ、などと疑問の声が挙がった。が、実はこの男、1年ほど前から警察にマークされていて、今回たまたま行った行為で送検されたわけではないらしい。
男の生中継はキャッシュのようなものが残っていて、2015年1月6日の17時30分から18時過ぎにかけてJR高松駅周辺でパソコンを使い、この生放送を見た人はここにお金を持って来てほしいなどとし、「これをいっぱいにしたいんだよ。僕は!」とコップを手に持ち叫んでいた。
それに対し視聴者は、「自分の顔でも食ってろ」「コジキ盗撮犯罪者」「警察はよ(早よ)」などといった批判的なコメントを浴びせた。激しい言い争いのような状況になったその時、何者かが男に話しかけた。どうやら警察による職務質問だったようだ。その後、男は生放送を中止した。
この男の物と思われるツイッターで1月8日に、
「警察の方々に、迷惑をかけてしまい本当に申し訳ありませんでした。これからは、古事記(編注:乞食)も脅迫的なことは、致しません。 たのしい趣味本位のニコ生にしていきたいと思います」
「今は、警察の取り調べで、パソコンもケータイも預けているので 連絡ができない状態なので」
などと説明している。報道のあった2月24日には、
「リスナーさんには。申し訳ありませんでした。今後は、改めて配信を心がけるよう、努力を身をもってたいかんしていきます」
などと改めて謝罪をしている。ただし、そのツイートのリプライは、「どしたの雑魚?」「ニュース報道とかすげえ売名だなおいwww」などといった挑発的な言葉が並んだ。
注意に従わなかった過去の経緯を踏まえた措置だった
また、リプライの中には他にも、同一人物がこれまでも、物乞いの生放送を何度も行ってきたため、必ず罰が下るはずだと思っていたと感想を述べる人もいる。そう、実はこの男、何度も警察から注意を受けていたにもかかわらず、ネットでの物乞い行為を止めなかったのだ。
香川県警生活環境課に話を聞くと、1年ほど前から男の生放送の視聴者から苦情が寄せられるようになった。「生放送での物乞は不快であり、犯罪ではないのか?」などというものだった。県警はこの男を特定し、物乞いの生放送は止めるように注意したが従わなかった。自宅内で物乞いをする行為を検挙するのはなかなか難しく、思案していたが、今回、男が外に出て物乞いを始めるという情報を得て15年1月6日に担当署員が張り込み、男を発見。そこに急行し「現行犯」として任意捜査をしたのだという。生活環境課によれば、軽犯罪法違反だからと言って即、捜査するわけにはいかないが、今回のケースは別で、これまでの経緯を踏まえた上での書類送検だったと説明している。
軽犯罪法第2条では、「前条の罪を犯した者に対しては、情状により、その刑を免除し、又は拘留及び科料を併科することができる」と定めている。