2018年2月開幕の韓国「平昌(ピョンチャン)冬季五輪」まであと3年後に迫ったが、準備が進まずピンチだと韓国メディアなどが報じている。F1誘致のときなどの惨状を再現しかねないというのだ。
「このままでは成功どころか、国際的な恥さらしになる」「今でも遅くない。日本に渡そう」。平昌五輪の危うさが次々に露呈し、韓国のネット上では、こんな意見が相次いでいるという。
「ナッツ姫」父親の組織委員長も、事件で手につかず
朝鮮日報などによると、韓国は、五輪で使う13競技場のうち6競技場を新設するが、2015年1月時点での建設工事の進捗率は6~14%に留まっている。このため、開催1年前のプレ五輪に間に合わない懸念も出てきた。国際スキー連盟は2月9日、フリースタイルの競技場について大幅改修が必要だとして「不合格」のお墨付きまで出したほどだ。
また、運営費の4割近くを賄うスポンサー契約は、目標が30社のところまだ4社に留まっている。20年の東京五輪では、すでに目標15社のうち5社もがスポンサーに決まっていることに比べて、なかなか状況は厳しいようだ。
さらに、五輪終了後も競技場の利用を考えないといけないが、6競技場のうち4競技場の利用計画が未定のままだという。
こうした苦境の背景には、財閥への依存度が高い韓国経済が失速ぎみなことがある。このほか、大会組織委員長が「ナッツ姫」の父親の大韓航空会長で、事件の余波で仕事が手につかない状態だと報じられており、資金集めが捗らない一因にもなっているらしい。
一時は日本との分散開催もIOCで検討されたが、韓国のパク・クネ大統領はそれを拒否して単独開催にこだわった。競技場建設などについて組織委は五輪までに間に合うと強調したというが、朝鮮日報が「崖っぷち」と報じるなど懸念は解消されていない模様だ。
五輪招致で約束した高速鉄道も建設されないことに
もし、このまま本番まで問題が解決されないとすると、平昌五輪は一体どんな状況になってしまうのか。
その前例と言えるのが、韓国が誘致したF1レースかもしれない。
首都ソウルからかなり離れた開催地で、鉄道も通っておらず、2013年のレースは「客席ガラガラ」などと韓国のネット上でも揶揄された。宿泊施設も足りず、メカニックや報道関係者はラブホテルに泊まらざるを得なかった。
10年の開始当初はサーキットが未完成で、その後のレースでも、エンジンギアボックスにダメージとなる粉末消火器でマシンの火を消すなど設備の貧弱さも露呈した。結局、14年から開催されなくなり、200億円もの赤字のうえに100億円超の違約金まで請求されていると報じられている。
最近でも、韓国・仁川で14年9月に開かれたアジア大会では、設備や運営などの不手際が次々に明るみに出た。
各国の選手団では、照明がつかずにナイター練習ができなかったり、シャトルバスが来るまで2時間も待たされたりしたと報じられた。また、日本の選手団も、サッカーの練習は野外テントで着替えをし、エレベーター故障で22階まで歩いて上り下りしなければならない「アウェーの洗礼」を受けたとされた。
平昌五輪も、「客席ガラガラ」とならないよう集客などにも課題が残る。雪の少ない韓国では冬季スポーツの人気はないとされ、五輪招致で約束した仁川空港―平昌間を68分でつなぐ高速鉄道も建設されないことになったからだ。
日本のネット上では、平昌五輪の危うさに関心が集まりながらも、日韓協力には冷ややかな声が多い。「関わると後で日本が悪いと言われる」「自力でなんとかしてください」といった反応で、「一番可哀想なのは選手」との声も上がっていた。