五輪招致で約束した高速鉄道も建設されないことに
もし、このまま本番まで問題が解決されないとすると、平昌五輪は一体どんな状況になってしまうのか。
その前例と言えるのが、韓国が誘致したF1レースかもしれない。
首都ソウルからかなり離れた開催地で、鉄道も通っておらず、2013年のレースは「客席ガラガラ」などと韓国のネット上でも揶揄された。宿泊施設も足りず、メカニックや報道関係者はラブホテルに泊まらざるを得なかった。
10年の開始当初はサーキットが未完成で、その後のレースでも、エンジンギアボックスにダメージとなる粉末消火器でマシンの火を消すなど設備の貧弱さも露呈した。結局、14年から開催されなくなり、200億円もの赤字のうえに100億円超の違約金まで請求されていると報じられている。
最近でも、韓国・仁川で14年9月に開かれたアジア大会では、設備や運営などの不手際が次々に明るみに出た。
各国の選手団では、照明がつかずにナイター練習ができなかったり、シャトルバスが来るまで2時間も待たされたりしたと報じられた。また、日本の選手団も、サッカーの練習は野外テントで着替えをし、エレベーター故障で22階まで歩いて上り下りしなければならない「アウェーの洗礼」を受けたとされた。
平昌五輪も、「客席ガラガラ」とならないよう集客などにも課題が残る。雪の少ない韓国では冬季スポーツの人気はないとされ、五輪招致で約束した仁川空港―平昌間を68分でつなぐ高速鉄道も建設されないことになったからだ。
日本のネット上では、平昌五輪の危うさに関心が集まりながらも、日韓協力には冷ややかな声が多い。「関わると後で日本が悪いと言われる」「自力でなんとかしてください」といった反応で、「一番可哀想なのは選手」との声も上がっていた。