川崎中1殺害事件「○○って人が犯人らしい」 実名、顔写真がネットで拡散、法的責任問われる可能性

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   川崎市川崎区の河川敷で、同区の市立中学校1年生・上村遼太さん(13)の遺体が見つかった事件で、インターネットに「犯人らしい」などとして複数の少年の名前が顔写真とともに上げられている。

   いずれの少年も容疑者だとする特定する根拠は乏しいと思われるにもかかわらず、「拡散希望」などと書かれてネット上に広まっている。こうした投稿が不法行為に当たる可能性を弁護士は指摘している。

「こいつ見つけたらすぐ連絡ください」

ツイッターなどで「犯人らしい」と拡散
ツイッターなどで「犯人らしい」と拡散

   これまでの報道をまとめると、付近の防犯カメラには河川敷に向かう、上村さんとみられる少年を含む、複数の姿があったという。上村さんは2014年11月ごろから年上のグループと関係を持つようになり、暴力を振るわれていた可能性が指摘されている。知人には「殺されるかもしれない」と相談していたとも報じられている。

   2015年2月24日夕時点で神奈川県警は容疑者を特定する情報を発表していない。ただ、各メディアでは事件前に上村さんが周囲にトラブルを相談していたことや、事件に未成年者がかかわっている可能性が報じられている。こうした情報に刺激されたのか、事件発覚直後からネット上には「犯人」だとして複数の少年の実名が挙がっている。

   ツイッターを見ると、

「○○って人が犯人らしい」
「こいつ見つけたらすぐ連絡ください、多摩川の中学生殺害に関係している様です」
「中1上村遼太くんを殺した犯人は○○判明?他数名」(○○はいずれも編集部)

などという情報が流布されている。さらに顔写真が添付され、「少年院上がりらしい」「薬の売人」などと真偽不明な個人情報も出回った。

   一部からは投稿をやめるよう注意する書き込みもあるが、「犯人とはまだ限ってないようだけど」「確証ないけど火のない所に煙は立たないからな」として、「拡散希望」「どんどん広めてください」などと実名や顔写真を投稿する人は後を絶たない。

リツイートしただけでも賠償請求の対象になりうる

   IT分野に詳しいみずほ中央法律事務所の三平聡史弁護士は、

「犯人であるかどうかが分からない今の段階で、実名や顔写真をあげることはプライバシー権の侵害にあたる可能性があります」

と指摘する。プロバイダーに開示請求して投稿者を特定し、損害賠償を求める訴えを起こすことができ、「不確かな情報をリツイートしただけでも賠償請求の対象となる可能性は全くないわけではありません」という。

   もちろん名誉毀損に当たる心配もある。

「事実であるか否かにかかわらず、『少年院に入っていた』などと過去の犯罪歴を明かすような行為と合わせて、名誉毀損だとして刑事訴訟に発展することもありえます」

   ただ、こうした投稿の拡散をすぐに止めることは容易ではない。SNSでは最初に投稿した人物を特定することは難しく、今も拡散は続いている。「現行法が追い付いていないのが現状です」と指摘している。

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