今年の流行語大賞「男気」でキマリ 広島ファンを泣かせた「サムライ黒田」

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大リーグのピッチングでは通じない?

   黒田が広島復帰を決断したのは昨年暮れのことだった。代理人がヤンキースと交渉を続けている時期である。広島のフロントとの人間関係から戻ることを決めたという。

「広島に戻れるのは今しかない、と決断した。広島という小さな街で私を待っているファンがいるということも大きな理由だった」

   当然、広島はエース格としての活躍を見込んでいるだろう。

「ローテ-ションに入って投げるのなら2ケタは勝ちたい」

   40歳の年齢を考えたとき、登板間隔を大リーグの中4日から伸ばすことができるので、ローテーションに入れば30試合登板と予測して10勝は可能性がある。

   黒田は現在、日米通算182勝。日本で11シーズン103勝、大リーグのドジャースとヤンキースで79勝。

   いわゆる200勝を挙げると名球会の会員になれる。名球会入りはともかく、一流投手の証でもあるその数字はぜひ達成したいところである。残り18勝。2シーズンを要することは間違いない。

   ここで現実を予想すると、大リーグのピッチングがそのまま通じるとは思えない。第一に日本の打者は初球から簡単にバットを振ってこないし、ボール球にまず手を出さない。この点は日米のもっとも異なる点で、従って投球数が増えることにつながる。

   おそらく5、6回で100球は投げることが多くなるだろう。黒田は落ちるボールで打たせて取るスタイルになっているからコントロールと駆け引きを駆使することになり、この点では味のあるピッチングが見られるはずである。

   今年のプロ野球の特徴は、大リーグから帰ってきた投手が大きな話題になっていることである。黒田の前にはソフトバンクに入った松坂大輔がいる。話題では常に一番だった巨人がすっかりかすんでしまった。

   黒田の登板は観客増員に結び付く。開幕投手もありうる。カープ女子が黒田おじさんを応援するのも話題になるだろう。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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