東電と中電、「火力提携」の複雑 福島原発事故の補償問題が影落とす 

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中部電側に「複雑な思い」

   しかし、既存の火力発電事業とその関連資産を新会社へ統合することについては、何の合意もないのが実情だ。こうした状況は、2014年10月の基本合意の際から何も変わっていない。つまり、肝心なことは14年秋から何の進展もないと言っていい。

   それはなぜか。中部電側に「複雑な思い」があるからに他ならない。いちばんの懸念は、実質国有化されている東電と強く結びつくことで、福島第1原発事故の補償問題に付き合わされないか、という点。東電側は「それはない」と主張するが、なおすっきりしない。

   また、既存の火力発電まで統合するということは、原発は再稼働が簡単でない「浜岡」しかない中部電にとって、もはや「経営統合」に限りなく近い。それだけに「既存を含めた火力の統合がうちの利益になのか、もう少し検討したい」(中部電幹部)との考えが消えないわけだ。

   ひるがえって東電(政府)にとって中部電との提携は取引先金融機関の融資をつなぎとめる術でもある。複雑な方程式をどう解くか、もう一波乱ありそうな気配が充満している。

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