日本のゲームといえば任天堂やソニーなど家庭用ゲーム機で世界市場を席巻しているイメージがある。ところが、こと「プロゲーマー」と呼ばれるゲーム競技のプロに関しては世界の後進国になっている。
ただ、日本でもプロゲーマーの時代が訪れようとしている。プロゲーマー養成の専門学校ができたほか、ゲーマーを給料制で抱え世界に通じるプロに育てようとするチームも現れている。
大会賞金が5億円 年収が1億円を超えるプレイヤーも
アメリカなど海外の大きなゲーム大会の規模はすごい。日本の国立競技場のような場所に3~4万人の観客が集まり、巨大モニターに映し出されたゲームの対戦を、固唾をのんで見守り、勝敗が決まると会場は大歓声で埋め尽くされる。賞金が5億円という場合もあり、そうした場で賞金を稼ぐのがプロゲーマーだ。
トップクラスになれば年収は億を超える。ゲーム画面を通し戦っている様子はまるでスポーツを連想させ、海外ではゲーム大会とは言わす「e-Sports(エレクトロニック・スポーツ)」という名が定着している。
もちろん日本にも海外で名前が知られるプロゲーマーが存在している。梅原大吾さん(33)は相手と一対一で戦う「ストリートファイター」シリーズなど格闘技ゲームの使い手で、17歳で世界大会に初出場して初優勝。09年と10年にアメリカのラスベガスで開催された「Evolution Championship 」の「ストリートファイターIV」部門に出場し、史上初の2年連続チャンピオンとなり、その功績が認められ「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロゲーマー」としてギネスブック入りした。ただし、世界で活躍する日本のプロゲーマーは欧米やお隣の韓国に比べ圧倒的に少ない。
なぜゲーム大国であるはずの日本にプロゲーマーが少ないのか。実は、「e-Sports」の大会で使用されるのはオンラインゲームが中心で、銃やナイフを構え、仲間と協力して、リアルタイムに進行する時間の中でテロリストなどの敵と戦うサバイバルゲームなどだ。「League of Legends」「World of Tanks」といった海外のゲームが有名だ。
ゲームの人気が高いほど大きな大会となりスポンサーも増え賞金額が大きくなる。一方、日本国内で人気なのは「ドラクエ」「FF」といったRPG(ロールプレイングゲーム)や、「龍が如く」「バイオハザード」などのアクションRPG、美少女が出てくるシミュレーションなどだ。
「e-Sports」で多く使用される、仲間と協力してオンライン上のリアルなプレイヤーたちと対戦するゲームは日本ではマイナーな存在だった。
「e-sports」に使われるゲームが日本にどんどん上陸する
そういった中で、日本でも「e-Sports」に参戦し大金を稼ぐプロゲーマーを育てようという動きが活発化し始めたようだ。日本で初めて職業としてのプロゲーマーを目指す専門学校が生徒募集を始めた。東京アニメ・声優専門学校(東京都江戸川区)が「e-sports専攻」を設立する。
「e-sports」の競技人口は全世界で5500万人いて、韓国では子供がなりたい職業の2位だ、などと紹介している。入学すれば「e-sports」にプロゲーマーとして参加できる可能性が開けるほか、ゲーム実況・MCや、「e-sports」のマネジメントなども学べる。
さらに、日本のプロゲーマーの多くは別に職業を持って生活する人が多かったが、ゲームの鍛錬に集中できるように給料制にする組織も現れた。「プロゲーミングチームDetonatioN」がそれで、2015年2月から選手たちへの給与支払いの他、共同生活ができる施設を作りコミュニケーションを図りながら世界と渡り合えるチームを作っていくとしている。チームの支援企業の一つがパソコン周辺機器販売のベンキュージャパンだ。
「e-sports」はオンラインゲームが主体なためパソコン関連機器メーカーなどがスポンサーになることが多い。ベンキュージャパンは「DetonatioN」のスポンサーになったことについて、
「日本のこれまでのゲームはオフラインが中心だったが、これからはe-sportsに使われるゲームがどんどん日本に上陸することが予想されている。日本でもe-sportsの波が必ず訪れ、賞金が稼げるプロゲーマーも増えていくと考えています」
と話している。