馬券を購入して配当で得た所得約29億円を申告しなかったとして所得税法違反に問われていた元会社員の男性(41)について、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は、検察側の上告に対する判決を2015年3月10日に言い渡すことを決めた。2月18日付で各紙が報じた。
1、2審は男性を有罪としたが、「ハズレ馬券の購入費も経費にあたる」と判断して課税額を大幅に減額していた。最高裁が口頭弁論を開かずに判決を言い渡すことになったため、この1、2審の判断が確定する見通しとなった。
1、2審判決によると、男性は2009年までの3年間に競馬の予想ソフトを使って総額約28億7000万円分の馬券を購入。総額約30億1000万円の配当を得た。検察側は、男性が手にした配当は偶発的に生じた「一時所得」で、必要経費はアタリ馬券に使った約1億3000万円だけとして、課税額を約5億7000万円と算定した。
これに対し、1審の大阪地裁と2審の大阪高裁の判決は、男性が中央競馬のほぼすべてのレースで毎週、馬券を自動購入していた点を重要視した。これらの馬券購入費は必要経費が広く認められる「雑所得」にあたるとして、全額を経費と認めて課税額を約5200万円に減額した。そのうえで男性に懲役2月、執行猶予2年(求刑・懲役1年)を言い渡していた。