日本生命保険と第一生命保険が、りそなホールディングスを舞台に生命保険業界の首位争いを繰り広げている。両生保がそれぞれ、個人向け分野に強いりそなへ出資して関係を強化し、銀行窓口での保険商品販売を強化しようとしているのだ。2014年度上期の業界首位を日本生命から奪取した第一生命が地歩を固めるのか。戦いはますますヒートアップしている。
第一生命は2014年9月中間決算の保険料等収入(売上高に相当)が約2.6兆円となり、日本生命(約2.5兆円)を戦後初めて抜いた。急激な業績アップの理由は、超低金利の中、銀行窓口で販売する比較的運用利回りの高い保険商品の売り上げが急伸したことだ。
日本生命の保険商品の販売を増やせると判断
大手生保は従来、営業職員を通じて保険商品を販売してきたが、第一生命は銀行窓口での販売を手がける子会社、第一フロンティア生命を設立し、営業職員以外の販売チャネルを強化している。一方、日本生命は今も大半が営業職員を通じた販売だ。この差が弱点となり、日本生命は2014年度の年間を通した保険料等収入でも業界首位の座が危うくなっている。
そこで日本生命が目をつけたのは、個人向け分野に注力し、保険販売も強いりそなとの関係強化だった。関係者によると、日本生命は現在、りそな株を運用のためにわずかに保有しているだけだが、りそなが持つ約800億円分の自社株のうち、数百億円分を買い取り、大株主に躍り出るという。「メガバンクは系列の保険会社の商品を多く販売する傾向がある」(大手行幹部)が、りそなは特定の系列色がないこともあり、出資によって関係を強化することで、日本生命の保険商品の販売を増やせると判断したとみられる。出資後は、りそなの窓口だけで販売する貯蓄型商品などを開発し、銀行窓口販売をテコ入れする狙いだ。