各種割引が混在し、利用者には複雑で分かりにくい
リーマン・ショック後の2008年10月に緊急経済対策で国が3兆円を投入して以降、高速料金は様々な割引が導入された。14年来の見直しは、この「後始末」という意味がある。2009年3月から生活対策として「休日上限1000円」を導入、東日本大震災後にこれを廃止した後も各種割引が混在し、利用者には複雑で分かりにくい料金体系になっていた。政策効果としても、社会資本整備審議会などで「割引が認識・実感されておらず効果の発現が不十分」「目的の異なる割引を並行して導入した結果、本来の効果が低減している」といった問題点が指摘されていた。
そして、見直しを先送りされていたのが首都圏の料金というわけだ。
実際、現状の料金は矛盾に満ちている。首都高の料金は普通車で、24キロまでは走行距離に応じて510~820円だが24キロ超は930円の定額料金。他方、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)や東名道は距離に応じた料金で、利用者は多少の渋滞を我慢しても料金が安い首都高速を使うケースが多い。また、東京外郭環状道路(外環道)は510円、中央道の高井戸-八王子間は620円で、どれだけ走っても同一料金――といった具合だ。外環道などが同一料金なのは、市街地のため入り口料金所は確保できたものの出口料金所が作れず、距離に応じて精算できないからだ。